【動画】コロナ禍で苦境に立つ移民、難民の生活は経済的な厳しさを増している
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 90人も乗った小さな漁船は出航から1日たった夜、進まずに海を漂い始めた。エンジンが壊れてしまったようだった。海は荒れ、船はひどく揺れた。何も見えず、どこにいるのかもわからない。

 アフガニスタン出身のザキ・ハイダリさん(26)は、インドネシアからオーストラリアを目指した8年前の船上の恐怖を忘れられない。「私は今も泳げない。おぼれるか、サメに食べられるかして、死ぬのだろうと覚悟した」

 インドネシアを出て5日目、上空を飛行機が飛んだ。みな夢中で手を振った。その日の夜遅く、豪海軍の船が漁船に近づいた。救出され、豪北部のクリスマス島の難民希望者の収容所に運ばれた。「家族が神に祈ってくれたのが通じたのだと思った」

兄も父も、タリバーンに…

 アフガン中部のワルダク州生まれ。少数派で反政府武装勢力タリバーンの攻撃の対象になっているハザラ人だ。ハイダリさん一家に悲劇と恐怖が襲ったのは、前年の2011年だった。

 カブールの大学でコンピューター科学を学んでいた兄は帰省で村に戻る途中、現代教育を否定するタリバーンの「検問所」で、大学のジャンパー着て、学生証を持っていたところをとがめられ、その場で首を切られて殺された。

 村で診療所を開いていた医師の父は翌年、外国から入手した医薬品を首都カブールから車で運んでくるときにタリバーンに捕まり、行方不明になった。英語で書かれている医薬品の説明書類を見つかり、外国の組織と協力していると疑われ、殺されたと聞かされた。

 次は、家族で最年長になったハ…

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