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 中国共産党政権に批判的な論調で知られる「リンゴ日報」創業者で、香港国家安全維持法(国安法)違反の罪に問われた黎智英(ジミー・ライ)氏に対する1回目の審理が、香港の裁判所で12日開かれた。当局側は、SNSやメディアを通じた黎氏の発言が米国などの対中圧力につながったとみて、「外国勢力との結託」の罪を適用しようとしている模様だ。

 黎氏は11日、国安法に違反した罪で起訴され、12日午前から審理が始まった。香港警察の国安法案件担当部局は、黎氏が7月1日以降、外国の組織や個人に、対中国、対香港制裁を求めるなど国家に敵対的な行動を取ったとしている。

 法廷では具体的に黎氏のどのような発言を罪に問おうとしているかは明らかにならなかったが、香港メディアによると、当局側は黎氏のSNSを通じた発信や外国報道機関の取材での政権批判などを通して、「国の安全に危害を与えた」と判断しているとみられる。黎氏は8月10日に国安法違反容疑で逮捕され、いったん保釈されたが、その後の発言についても捜査対象になっている。

 当局側は、証拠を精査する時間が必要だとして実質的な審理入りを来年4月に延期するよう要請。香港政府トップの林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官が任命した裁判官は「黎氏と関係するツイッターアカウントや1千を超す書き込み、動画、海外の人物との会見などを調べるには時間が必要」としてこれを認め、次回審理を4月16日とすることを決めた。黎氏の弁護人は、次回審理までの勾留は長すぎるとして保釈を申請したが却下された。

 今月2日に禁錮10カ月の実刑判決を受けた民主活動家の周庭(アグネス・チョウ)氏も、黎氏と同様に外国勢力と結託して国に危害を与えた容疑をかけられている。日本語が堪能な周氏も以前、ツイッターなどを通じ、民主化運動への支援を呼びかけていた。(広州=奥寺淳)