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 政府の全世代型社会保障検討会議(議長・菅義偉首相)は14日、最終報告となる「全世代型社会保障改革の方針」をまとめた。75歳以上の医療費の自己負担割合について、単身世帯は年間の年金収入200万円以上(夫婦2人世帯は計320万円以上)を対象に、2022年度後半から2割に引き上げることなどを明記した。

 報告は基本的考え方として「現役世代への給付が少なく、給付は高齢者中心、負担は現役世代中心というこれまでの社会保障の構造を見直す」とした。菅首相は「少子高齢化が急速に進む中にあって、現役世代の負担上昇を抑えながら、全ての世代が安心できる社会保障制度を構築し、次の世代に引き継ぐことが我々の世代の責任だ」とあいさつした。15日にも方針を閣議決定し、必要な法案を来年の通常国会に提出する。

 医療費窓口負担の2割引き上げの対象は約370万人。窓口負担を増やすことで、75歳以上の医療費の4割(自己負担を除く)を負担する現役世代の負担軽減につなげる。

 実施後3年間は、1カ月あたりの負担増が3千円を超えない経過措置を講じる。75歳以上の自己負担額は平均すると今より3・4万円多い年間11・5万円となるが、経過措置の期間は年間10・6万円に抑えられるという。

 待機児童対策として21年度から4年間で約14万人の保育の受け皿を整備し、財源として児童手当の高所得者向けの特例給付を縮小する。子ども2人の専業主婦家庭の場合、いまは夫の年収が960万円以上なら月5千円の特例給付が支給されているが、22年10月分以降は年収1200万円以上だと、特例給付が支給されなくなる。一方、所得基準の算定基準を現在の「世帯で所得が最も高い人」から「世帯合算」に変更する見直しについては、世代間の公平性の観点などから「引き続き検討する」とした。

 22年度から不妊治療を保険適用とすることも明記し、20年度中にいまの助成制度の拡充を始める、とした。所得制限の撤廃や毎回30万円といった助成の増額を行う。男性の育児休業取得を促進するため、企業に休業制度の周知を義務化することなどを検討する。(久永隆一)

全世代型社会保障の方針(要旨)

・不妊治療を2022年度から保険適用。実現までの間、20年度内に今の助成制度を拡充

・待機児童解消へ21~24年度の4年間で保育の受け皿を約14万人分整備

・児童手当を22年10月から縮小し、待機児童解消策の財源に。子ども2人世帯なら年収1200万円以上の場合、特例給付の対象外に

・男性の育児休業取得へ、出生直後の休業を促す新たな枠組み導入

・22年度後半から75歳以上の医療費窓口負担を1割から2割に。単身世帯の場合、年金収入200万円以上が対象

・紹介状なしで大病院を受診する場合、定額負担(5千円)を2千円以上引き上げ