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 カラスが警戒したときの鳴き声や強力なLED光の照射で熊本市中心部に集まるカラスを追い払おうと、市が10日から実証試験を始めた。同市では市中心部にカラスが集まるため「ふん害」が問題となっている。試験は年末年始や荒天時を除き来年1月末までの30日間を予定している。

 10日午後6時、同市中央区花畑町の花畑公園。カラスの大群がとまっている木に向けて、カラスが警戒したときの鳴き声を加工した音声が拡声機で流された。「グワー、グワー」という耳障りな音声に、無数のカラスが一斉に飛び立った。

 音声を開発したのは、カラスの被害対策に取り組む企業「CrowLab(クロウラボ)」(宇都宮市)。同社代表取締役の塚原直樹さん(41)は「まずは想定通りに追い払うことが出来た」と結果に満足そうだ。

 音声は18年間にわたってカラスの研究をしてきた塚原さんの蓄積データをもとに、カラスが危険に気づいた時や緊迫感を持った時、群れがパニックになった時などストーリー仕立てに加工している。カラスが音声に慣れないように4パターンを用意し、毎日午後6時半~同7時、同7時半~同8時に音声を流して、飛び立ったカラスの数や何羽戻ってきたかなどを確認して追い払い効果を検証する。

 また、花畑町の別のエリアでは、木々にとまって寝る準備をしているカラスに強力なLED光を照射して追い払う試験も行われた。

 市によると、大半は渡り鳥のミヤマガラス。中国東北部に生息し、越冬のため朝鮮半島を経由して九州に渡る。元々は11月から翌年2月にかけて、同市郊外へ集団で飛来していた。ところが2018年冬ごろから、夕方から夜にかけて花畑町など市中心部の電線などに多数のミヤマガラスが集まるようになったという。集団の中にはハシブトガラスなども混在している。

 飛来に伴い、「カラスのふんが落ちてくるので歩道を歩けない」「観光客の熊本市に対する印象が悪くなる」と、市民から「ふん害」や鳴き声などに対する苦情が寄せられ始めた。

 市は19年度、佐賀大学に被害対策の調査研究を委託した。昼間にカラスが集まるエサ場は市中心部から南や南西方向にある水田などで、夕方になると熊本城周辺の樹木へ移動。日没後はさらに花畑公園方面に一斉に移動し、公園の常緑樹などをねぐらにしていることが確認された。調査結果をもとに、今年度は追い払いの実証試験に着手した。

 佐賀大学農学部の徳田誠准教授は「実証試験を通じて、距離が近くなりすぎた人とカラスのすみ分けが図れるようにしていきたい」と話していた。(白石昌幸)

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