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 【北海道】新型コロナウイルスの感染拡大が続いているため、国の観光支援策「Go To トラベル」で札幌の一時停止が延長され、他地域も一時停止されることになった。札幌だけでなく、道内全体の観光地が打撃を受ける事態だ。冬の観光シーズンが本格化する中、関連業界は先行きへの危機感を強めている。

 函館市の五稜郭タワーは感染防止のため、元日の初日の出に合わせた早朝営業をすでに断念した。同社の大場泰郎・営業部長によると、11月中旬までは、道内の小中高校が修学旅行先を道内に振り替えたため団体客が堅調で、「インバウンド(訪日客)が抜けた穴を埋め合わせるほどだった」という。しかし11月下旬以降、修学旅行をやめる学校が増え「14校、約1千人分の予約がキャンセルになった」。「トラベル」の一時停止に加え、道内で感染拡大が収まらないなか、「この状況では、集客の努力そのものができない。来年はインバウンドが期待できない2月が待っていると思うと……」と心配する。

 千歳市にある支笏湖温泉。老舗の宿、丸駒温泉旅館では、「トラベル」の効果で9~10月は前年の8~9割まで利用客が戻ったという。しかし11月下旬からの「トラベル」の札幌の一時停止で12月は予約の3割程度にキャンセルが出たという。

 一時停止の延長に佐々木義朗社長(57)は「複雑な思いだ。感染が拡大しているなかでは仕方がないのだろうが、解除になればまたドッと繰り出し、再び感染が広がるということを繰り返すのではないか。キャンペーンを続ける中で感染防止に努めていくほうがいいと思う」という。

 同旅館の利用客のうち道外客のほとんどは首都圏からの客だといい、「東京も一時停止し、さっぽろ雪まつりも事実上中止となると、来年1~2月はかなりひどいことになるのでは」と話す。

 すでに一時停止で打撃を受けている札幌市のホテルは、延長で厳しい状況が続く。京王プラザホテル札幌の担当者は「今後も『Go To』の再開がない場合は、かなり厳しい年末年始となってしまう」。同ホテルでは「トラベル」の一時停止の影響で、12月の客室稼働率は前年同月の半分以下になっているという。札幌の感染者数が高止まりしているため、今後の予約も伸びていない。「全国的に外出控えが進めば、その影響も今後は出てくるかもしれない」という。

 定山渓温泉(札幌市南区)では今月2日から15日まで、感染防止対策などのため、ホテル・旅館の18館中6館が休業している。期間中の客の入りはほとんどなく、地域として収入が得られない状況が続く。定山渓観光協会の長谷川信之事務局長は「『トラベル』の一時停止の措置が延長されれば、客の入りに影響は出てくる。営業再開は各ホテルの判断になるが、札幌の感染も続いており、この先どうなるか見通すことは難しい」と話す。

 旅行会社「北海道ツアーズ」(札幌市中央区)の担当者は「札幌のコロナの広がりを見れば(一時停止の)延長は仕方がない」。コロナの影響で年末年始のツアーの利用者は限られているという。全道地域が一時停止の対象となれば、札幌で停止した時のように、どのツアーが対象になるかで混乱が生じる可能性もある。「ツアーが減ったため最低限のスタッフで対応しているが、キャンセル対応には人が必要になる。ツアーがなく収入がないなか、対応のための人件費がかかってしまうことになるかもしれない。今後の対応を判断するため、情報がほしい」と懸念する。(原田達矢、三木一哉、志田修二)

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 政府が「Go To トラベル」で札幌市の一時停止を今月27日まで延長し、28日から来年1月11日まで全国一斉に停止すると発表したことを受け、北海道の鈴木直道知事はコメントを公表。「トラベルの一時停止の措置に関し、度重なる変更により事業者や利用者に混乱が生じている」とし、運用の詳細を早期に示すよう求めた。さらに、「観光事業者の繁忙期の事業停止で多大な影響がある」とし、「国としての事業者に対するしっかりとした財政的な支援を強く要請する」とした。

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