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 菅義偉首相が観光支援策「Go To トラベル」の全国一律の停止を表明したことを受け、野党側は批判を強めている。

 立憲民主党の枝野幸男代表は15日、同党の役員会のあいさつで「後手後手の何乗かというぐらい後手に回った」と批判。28日から1月11日にかけて停止することが決まったことから、「年末年始のかき入れ時にあたり、結果的に飲食観光業により大きな打撃を与えた」と指摘した。

 泉健太政調会長も記者会見し、勝負の3週間と言いながら政権が国民に強いメッセージを発しなかったとして、「感染防止対策や判断の遅れが、この年末年始のGo To トラベルの一時停止につながった。人災と言える状況だ」と述べた。そのうえで、「持続化給付金の追加募集を行うべきだと改めて訴えたい」などと、さらなる経済支援の必要性を訴えた。

 今回の判断を内閣支持率の下落による方針転換だとの指摘もある。14日に公表されたNHKの世論調査では、内閣支持率が前月から14ポイント下落して42%、不支持率は17ポイント上がって36%だった。共産党の小池晃書記局長は14日の会見で、「内閣支持率が急落したので慌てて小出し、後出し、中途半端な対応になっている」と指摘。「政府の決断が1日遅れるごとに感染で苦しむ人が増え、医療現場の逼迫(ひっぱく)が強まっていく」と非難した。

 一方、加藤勝信官房長官は15日午前の記者会見で、停止の決断が遅かったとの指摘があることに対し、「専門家の意見を聞かせて頂きながら、速やかに判断した」と反論。「(政府の)分科会の提言で、トラベル事業は感染拡大の主要な要因であるとのエビデンス(証拠)は現在のところ存在しない、とされている。この認識が変更されたものではない」と強調した。

 渦中の菅首相は15日午前、自民党の役員会に出席。事業の全国一時停止を含む追加的な見直しを実施したことについて、「これ以上の感染を食い止めることに全力を挙げたい」などと党幹部らに説明し、理解を求めた。

 公明党の山口那津男代表も同日の会見で、政府の感染抑制対策が効果が出ていないと指摘したうえで「全国一斉に停止するという判断は妥当だ」と評価した。

 しかし、「Go To」をめぐる首相のこれまでの判断には、自民内からも批判や疑問の声が上がる。

 自民の閣僚経験者は、「首相はぶれた」と指摘。「これから先、観光業界は大変だ。ここで方針を変えるなら、最初から突っ張る必要はなかった」と突き放した。

 中堅議員の一人はこう漏らす。「首相は『Go To』にこだわりすぎた。経済が大事なのはわかるが、命あっての経済だ」(吉川真布、松山尚幹)