拡大する写真・図版文化財保護のため、修復作業は亀裂周囲への影響を極力抑えるよう進められた=中尊寺提供

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 岩手県平泉町の中尊寺で進められていた国宝・金色堂の保存修理工事が完了し、15日に竣工(しゅんこう)式が行われた。経年変化で外壁に生じた亀裂や金箔(きんぱく)の剝離(はくり)が補修され、往時の輝きと姿が取り戻された。

 中尊寺によると、金色堂の補修は、1962年~68年にかけて行われた解体大修理以来。大修理から半世紀の歳月を経て漆や金箔の剝離や亀裂が目立つようになったことから、2018年に文化庁の支援を得て建築などの専門家5人による調査委員会が対策を詳細に検討した。

 委員会は昨年3月、「構造に関わる大がかりな修理は必要としないが、必要最小限の補修は行うべきだ」との結論を出した。公益財団法人・文化財建造物保存技術協会の監理のもと、今年6月に小西美術工藝社が補修工事に着手していた。

 堂の南と北の壁に生じた長さ2メートル近い亀裂を漆と微細な石粉を練り混ぜたパテ状の「錆漆(さびうるし)」で埋め、漆を塗り重ねた後で、金箔を乗せた。文化財保護の観点から、日本産漆を使いながら、伝統技法を用いて古い漆の塗膜面は極力残すなど、必要最小限の範囲で補修した。微細な亀裂など中心から外れる箇所の修理も見送ったという。

 中尊寺は「金色堂は建造物であると同時に美術工芸品、極楽浄土を表現した宗教的空間でもある。多くの側面を修理方針に統合し、可能な限り満足できるものとすることを目標にした」としている。(溝口太郎)

拡大する写真・図版壁中央部の横方向の亀裂が修復された(中尊寺提供)

拡大する写真・図版修復前の金色堂の壁に入っていた亀裂=中尊寺提供