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 「疲れた」「寂しい」「死にたい」――。ネットでそうつぶやいた被害者9人の命を、神奈川県座間市のアパートで次々に奪った事件。東京地裁立川支部は、「SNS社会に大きな衝撃や不安感を与えた」と述べ、被告に極刑を言い渡した。

 「主文は最後に告げることとします」

 矢野直邦裁判長は証言台の前に立った白石隆浩被告(30)を座らせ、判決の理由から朗読を始めた。主文を後回しにするのは極刑を言い渡すときの慣行だが、白石被告は取り乱すそぶりを見せなかった。

 そして1時間20分後、「被告人を死刑に処する」。黙ったままの白石被告に矢野裁判長が「聞こえましたか?」とたずねると、「はい、聞こえました」。被害者遺族が座る傍聴席からは、鼻をすする音が聞こえた。

「楽して暮らす」犯行計画

 裁判の焦点は、SNS上で死を受け入れるような気持ちを発信していた被害者たちが、事件の時までその意思を持っていたと言えるかだった。起訴罪名の強盗・強制性交殺人の法定刑が死刑と無期懲役しかないのに対し、被害者の同意を得て加害者が手をかける承諾殺人は6カ月~7年の懲役か禁錮で大きく異なる。

 判決は、犯行状況を自ら明かす白石被告の話はおおむね信用できると判断し、これをもとに検討した。

 被害者たちは、確かに自殺を望んで被告に近づいた。だが会話を重ねる中で、被告と暮らすために不動産屋をめぐったり、「色々考えた結果生きていこうと思います」というメッセージを被告に送信したりしている。こうした被害者たちが突然背後から襲われて首を絞められるという一方的な方法で殺害され、性的暴行まで受けることを承諾していたはずがない、と述べた。

 金銭を得る、性欲を満たす、口封じ。判決は動機をこう認定したうえで、「犯罪史上まれにみる悪質な犯行だ」と非難を込めて量刑理由を説明した。

 そこに至った経緯について、白石被告は公判でこう語っている。「SNSで女性と知り合って、ヒモになりたいと考えた」「『寂しい』『死にたい』とつぶやく女性とつながろうとした。悩みを抱えた女性のほうが口説きやすいと、スカウトの経験からわかっていた」

 かつては「虫も殺せない気の小…

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