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 広島県福山市船町で大衆食堂として地域に親しまれつつ9月に閉店した「稲田屋」が15日、福山市の食品製造販売会社「阿藻珍味(あもちんみ))」に屋号などを譲渡する契約を結んだ。同社などが同日発表した。店名や「関東煮」や「肉皿」という看板メニューのノウハウが同社に受け継がれることになった。

 同社の粟村元則社長(51)は「ホルモンを煮込み、串で刺した関東煮や、肉皿は長く福山市民のソウルフードとして愛されてきた。しっかり受け継いでいきたい」と話した。同社によると、当面は関東煮の持ち帰り販売を優先し、一日でも早い販売再開をめざす、としている。

 稲田屋の創業は1919(大正8)年という。5代目店主の稲田正憲さん(67)がひざの痛みを抱えるようになり、新型コロナウイルスの影響も重なって店を閉じた。関東煮は初代の曽祖父と2代目の祖父が大阪で習ったという。

 稲田さんは閉店した9月23日の取材に「長年のご愛顧ありがとうございます。私の代で終わりと思っていた」と話した。一方で「この店のたたずまいと、この味を残してくれよという常連がいる。こうした声に応えたい」とも語っていた。

 稲田屋の店舗は飲食業以外の第三者に売却する方向で話が進んでいるという。(佐藤英法)

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