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 就職への不安や生活費の不足などで減少傾向にある博士課程への進学者を支援しようと、政府は15日、修士から博士課程に進む大学院生の生活費と研究費に1人当たり年最大250万円を支援する補助金制度を創設することを決めた。対象は先進的な分野などで学ぶ院生約千人で、今年度第3次補正予算案と来年度予算案で計約28億円を計上する。

 文部科学省によると、修士課程から博士課程への進学率は、2000年の16・7%から18年は9・3%に減った。博士号を取っても就職できたり研究員になれたりするのは7割しかおらず、進学率は減少の一途。文科省の担当者は「博士課程に進む若手が減ることで、論文数の減少にもつながっている」と指摘する。

 特に今年は、新型コロナウイルスの感染拡大でアルバイト収入が減ったり、大学に行けずに研究に支障が出たりしている例も多い。

 そこで文科省は、情報・人工知能、量子技術、マテリアルなどの分野で、約55大学の博士課程の大学院生を対象に、1人当たり年200万~250万円を3年間補助することにした。補助金は研究だけでなく、生活費にも充てられ、返済義務はない。補助額の3分の2を国が、残りを大学が負担する。文科省はまた、博士課程修了者の就職を支援する制度の策定も大学に求める。

 政府はまた、世界レベルの研究基盤を作るため10兆円規模のファンド(基金)を来年度に創設することを決めた。まずは約4・5兆円から始め、段階的に10兆円に増やし、運用益を研究や若手の育成に充てる。(石倉徹也