佐藤陽
汚れてしまった自分をきれいにしようと、手洗いが何時間もやめられなくなる――。そんな状態が続く精神疾患の「強迫性障害」と長年闘ってきた記者と家族の姿をお伝えする連載の6回目です。
●「手洗いがやめられない ~記者が強迫性障害になって~」第6回(https://www.asahi.com/rensai/list.html?id=1139)
週2回の大臣会見、事務次官会見、毎日のようにあるレクチャーや投げ込み……。2000年春、僕(53)は当時の環境庁担当になっていた。
それまでは「遊軍」といって自分でテーマを見つける取材だったが、省庁担当は少し勝手が違う。
例えば、アメリカが温暖化防止の「京都議定書」を離脱というニュースが入ると、関係部署を走り回る。起きる事態に合わせて、とにかく反応していく。地球温暖化やごみ問題、野生生物の保護など、様々な環境問題を追った。
これが結果的に、いい方向につながったようだった。
まず「メンタルヘルス」というテーマを離れたことが良かった。また朝から夜まで忙しく、様々な出来事に対応するなかで、「きれい汚い」を、いつの間にか忘れていることもあった。
もう一つ、大切なことがあった。妻があえて「鬼嫁」に徹したことだ。
僕が「今日は怖いから、外に出たくない」とふとんから出ようとしなかったとき。ふとんを引っぺがして、「とにかく駅まででもいいから、外に出なさい」と追い出してくれた。
「何てひどい妻だ」と思ったこともある。だがいま振り返ると、これが回復への道筋をつけてくれたのだと思う。
そして00年前後のことだったと思う。僕が出社するとき、自宅玄関で彼女が発した一言で、事態が大きく前進する。
「家に帰ったら服を脱いできれ…
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