聞き手・佐藤陽
強迫性障害とはどんな病気で、どんな治療法があるのか。また、家族ら周囲はどう接したらいいのか。この病気に詳しい国立精神・神経医療研究センターの堀越勝・認知行動療法センター長に話を聞いた。
――強迫性障害とは、どんな病気なのでしょうか?
ほりこし・まさる 1956年生まれ。米国バイオラ大学大学院博士号(臨床心理学)取得。マサチューセッツ州クリニカルサイコロジストのライセンス取得。米国ハーバード大学医学部精神科上席研究員、ケンブリッジ病院行動医学部、マサチューセッツ総合病院・マクレーン病院、強迫性障害研究所などに勤務。筑波大学大学院などで教え、日米で強迫性障害の治療に携わり、現職。山梨大学医学部客員教授、慶応義塾大学医学部精神科非常勤講師も務める。
いやなイメージや考え(強迫観念)が頭に浮かび、それに伴う不安や恐怖を打ち消すための行為(強迫行為)を繰り返す精神疾患です。おかしいことは頭でわかっているのに、強迫観念にとらわれてしまい、無意味な行動がやめられない病気です。
最も多い「洗浄・汚染」タイプを例に説明しましょう。
ドアのノブを触った、汚いトイレを使ったなど、ある「きっかけ(出来事)」を引き金に、「汚れてしまったかもしれない」といった強迫観念がわいてきます。そして「病気になるかもしれない」など不安・不快感が強まり、手洗いなどの強迫行為(儀式)をしてしまう。
儀式をすると、いったん安心するのですが、すぐに「ちゃんと洗えたかな」と思ったり、また別の出来事があったりして、再び強迫行為を繰り返す悪循環に陥ります。
――「汚染・洗浄」以外には、どんなタイプがあるのでしょうか?
戸締まりやガスの元栓などが気になって確認を何度もする「確認」があります。ほかに物が左右対称に置かれていないと気が済まない「対称性へのこだわり」、小児性愛や近親姦(かん)などタブーとされることにとらわれる「タブーとされる思考」、車に乗ってだれかをひいてしまったのではないかと気になって引き返すといった「加害」など、様々なタイプあります。
頭の中で強迫観念にとらわれ、…
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