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 建設資材に含まれるアスベスト(石綿(いしわた))を吸って中皮腫や肺がんになったとして、首都圏の元作業員と遺族ら337人が国と建材メーカー42社に計約120億円の賠償を求めた裁判で、最高裁第一小法廷(深山(みやま)卓也裁判長)は国の上告を退けた。労働安全衛生法上の労働者にあたらない「一人親方」と呼ばれる個人事業主についても国の賠償責任を認めた二審・東京高裁の判断が確定した。14日付の決定。

 首都圏建設アスベスト訴訟原告・弁護団によると、主な集団訴訟は全国で16件(5月時点)あり、最高裁が判断を示すのは初めて。労安法の保護対象は基本的に企業に雇われた「労働者」で、一人親方についての司法判断は分かれていた。決定は具体的な理由を示していないが、一人親方の救済に道筋をつけるものといえ、ほかの労働問題にも影響を与えそうだ。

 また第一小法廷は、元作業員ら原告の上告は受理し、来年2月25日に弁論期日を指定した。二審判決を変える際に必要な手続きで、メーカーの賠償責任を否定した二審の判断を変更する可能性がある。

 原告側は、国やメーカーは1960年代には石綿の有害性を把握したのに、防じんマスクの着用指示や製品への警告記載を怠ったと主張。作業員は建物の解体や石綿の吹きつけ時などに粉じんを吸い、健康被害を受けたと訴えた。

 高裁は国の責任について、対応を怠った期間を一審・東京地裁よりも長く認めたほか、労働者に加えて、一審が否定した一人親方への国の賠償も認定。327人に約22億8千万円を払うよう命じ、国は上告した。一方、高裁はメーカーの責任は否定したため、原告も上告していた。

 各地で集団訴訟を起こした原告は計約1100人。このうち作業員本人は約900人で、7割が亡くなって遺族が裁判を引き継ぐなどしている。(阿部峻介)