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 【東京】コロナ禍を背景に、公営ギャンブルの売り上げが好調だ。運営する自治体などは、払戻金不足に陥らないよう相次いで補正予算を組み始めた。外出自粛や無観客開催という逆境が好機に転じ、苦しい自治体財政を助ける存在になりそうだ。(井上恵一朗、杉山圭子)

平和島、予算も増額

 大田区にある競艇場「ボートレース平和島」で15日に開幕したSGグランプリは、その年の賞金獲得上位60人が出場する、6日間にわたる日本一決定戦だ。府中市が主催する。

 平和島での開催は6年ぶり。売り上げも最高潮となるこのレースが想定以上に伸びることに備え、市は39億円増額する補正予算を今議会で成立させた。「払戻金も増えて予算が増えるため」と事業部。ボートレース事業は、当初予算を超えた支出でも弾力的な対応が認められているが、コロナ禍での環境変化が理由のため、議会にはかることにしたという。

 政府による全国的なイベント自粛の要請が出た2月末以降、ボートレースも無観客開催に。平和島も直後のレースこそ売り上げが落ちたものの、緊急事態宣言が出た春以降は電話(ネット)投票の普及で一転し、前年比40~60%増を記録した。柏木茂永・事業部長は「家にいて楽しめる娯楽の一つに選んでいただけたようだ」とみる。7月から3千人上限で観客を入れるようになると、若い観客が目立つようになったのも特徴だという。この流れを受け、当初150億円と見込んでいたSGグランプリの売り上げ想定を200億円に上方修正した。

 SGグランプリを観戦していた男性ファン(23)は外出自粛中、ネットで舟券を買っていたという。「でも、モーター音の迫力や水しぶき、歓声がだいご味。やっぱり生が一番」

かつては「お荷物」の多摩川まで

 青梅市が多摩川で主催するボートレースも収益を伸ばしている。昨年度の舟券売り上げは前年度比96億円増の489億円余。今年度はさらに伸び、123億円余を今議会で補正した。年間では601億円余の売り上げを見込む。やはり電話投票が増えた分だ。

 事業の収益から経費などを引いた額が、繰り出し金として一般会計に算入される。コロナ禍で税収減が見込まれ、病院事業の財政も苦しいなか、財政課は「唯一といってもいいぐらいの明るい話題」とする。

 かつては市民から「お荷物」と非難された時期もあった。バブル景気のピーク時には売上高1295億円(90年度)を誇ったが、その後は減少傾向が続き、2000年度に初めて赤字に転落。前後5年度にわたって一般会計への繰り出しができなかった。苦境下で取り組んだ経費削減の効果も出て、「ここ2~3年は好調」(事業部)という。

 ほか、東村山市などで構成する一部事務組合の四市競艇事業組合、六市競艇事業組合(昭島市など)、三市収益事業組合(稲城市など)も10~11月に増額補正をした。

 コロナ禍が追い風となったのは都内の公営ギャンブルに共通する現象だ。立川市は今市議会に、競輪事業での8億6千万円増額の補正予算案を出した。特別区競馬組合(23区)が大井競馬場で主催するレースも4~11月の総売り上げは前年比2割増となっている。

 唯一の減額補正(約1億5千万円、11月)となったのが、十一市競輪事業組合(調布市など)。緊急事態宣言のために5月のレース中止が響いたという。