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 豊作で品質もよいのに、出荷するほど赤字――。新型コロナウイルスの影響で外食需要が冷え込む中、レタスの価格が低迷している。長崎県が全国有数の出荷量を誇る11月の市場価格は一時平年の4割を下回った。生産者は不安を口にしている。

 「35年農業してきて、ここまでの安値は初めて」。16日、雲仙市南串山町で収穫作業中の本田健吾さん(53)が話した。12月から翌年3月ごろの冬レタスが長崎産の出番。この時期、静岡や香川などと並び全国有数の出荷量を誇る。

 ところが11月末、東京都中央卸売市場でレタスの価格は平年比36%に下落。農林水産省の担当者は、「台風の被害が少なく、夏場から供給量が多かったことが最も大きな要因」としているが、仲卸業者への聞き取りなどでは、コロナ禍での外食需要の減少が追い打ちをかけている状況が浮かび上がるという。

 本田さんの元にも、大口契約先のカット工場が減産や人員整理に追い込まれる苦境ぶりが伝わってくる。自身も、市場向けの価格が最も低い時期には、畑の一部に除草剤をまいた。「我が子を殺すような気持ち。つらかった」と振り返る。

 市場価格は今月中旬にやや上昇したものの、本田さんは「生産コストと出荷経費をまかなえる水準ではない」という。GoToトラベル事業の停止などもあり、「トンネルの終わりが見えない」と話す。

 冬のレタスは寒さに耐えるため肉厚で、温野菜にしても歯ごたえを楽しめる。本田さんのおすすめは豚の薄切り肉と一緒にしゃぶしゃぶする「レタしゃぶ」。「家でおいしく食べていただきたい」と話している。(榎本瑞希)