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 仙台市で活動する舞台芸術家が子育てをテーマにした演劇「子育ていろいろ 晴れときどき嵐」をつくった。親たちの生の声をもとにした脚本で、抱え込みがちな育児への悩みや思いを共有するきっかけとなる舞台を目指す。

 友達家族で花火にいったときのお話。線香花火を楽しむ大人たちのもとに、子どもが近づいてきた。なにか捕まえたらしい。懐中電灯で照らすと、大人たちがざわついた。「ゴ、ゴキブリ……」。すかさず、1人の父親がフォローした。「コクワガタだな!めずらしいねぇ……。手、洗ってきな」

 26、27日の公演に先立って、会場となる「せんだい演劇工房 10―BOX」のYouTubeアカウントで公開している寸劇の動画だ。Facebookを使って募集した体験談を、俳優たちが演じた。

 演劇は、募ったエピソードのほか、出演者自身が子育てで体験したり感じたりしたことを、3組の夫婦の物語に構成した。芝居の間には実際の親たちのインタビューを映像形式で挿入し、生の声を伝える。

 仙台を拠点に活動する演出家の高橋菜穂子さん(43)が、企画の中心を担う。自身も2人の男の子の母親だ。出演する6人の俳優も、みな小さい子どもがいたり、子どもと関わる活動をしたりしているという。

 高橋さんは育児を「ジェットコースターなみにドラマチック。だけどその割には閉塞(へいそく)的なもの」だと表現する。発表会で成長ぶりに涙したと思えば、帰宅後にちょっとしたことで大げんか。1日に何度も感情が揺れ動くが、その気持ちを家庭の外に出せる機会は少ないという。

 高橋さんは育児で大変なのは、「ゴールが見えないこと」と「他の人に認めてもらえないこと」だと話す。一方で、演劇やテレビドラマでこれまで描かれてきたのは、ほとんどが現実とかけ離れた「美しい子育て」だと感じてきた。

 そこで「リアルでぶっちゃけた物語」を描くことで、客と俳優が子育ての大変さや喜びを分かち合うことはできないだろうか、と考えたという。

 生の声を集めるために企画していた座談会はコロナ禍で中止となったが、6月にFacebookを開設すると、少しずつエピソードが集まってきた。

 高橋さんは「子育てに関わる全ての人が、孤独でなくなってほしい」と願いながら、舞台の準備を進めている。

 26、27日、10―BOXで上演。入場料千円。託児サービス(500円)もある。問い合わせは10―BOX(022・782・7510)。(申知仁)

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