ばあちゃんサンタ、最後の手品 小学校での交流16年
山形県寒河江市幸生(さちう)にある全校児童9人の市立幸生小に16日、今年も「ばあちゃんサンタ」がやって来た。16年目を迎える年末の恒例行事だが、同小は来春、別の小学校に統合される。お互いに手品を披露し合うなど、最後の交流会を楽しんだ。
サンタは、近くでブドウ園を営む菊地トシ子さん(85)。ブドウ狩りに来る児童たちから「学校に来て下さい」と誘われたのがきっかけで、毎年この時期にサンタ姿で訪問。いつしか「ばあちゃんサンタ」と呼ばれるようになった。
この日、同小の食堂で待つ児童たちの「サンタさーん」の呼び声に合わせ、菊地さんが登場。大きな袋に入ったプレゼントを順番に手渡した。「中には何も入っていません」と示した帽子の中からポンポンを取り出すなど恒例の手品に、児童たちは歓声を上げた。6年生3人も照れながら、菊地さんに教わった手品を披露。出来栄えに感激した菊地さんは、目頭を押さえながら拍手を送っていた。
市北部の山あいにある幸生小は児童が減り、来春に白岩小に統合され、名前が消える。6年生の渡辺孔太さん(12)は「最後に手品を教わり、みんなの前で見てもらえたのがよかった。ばあちゃんサンタにはすぐに会いに行けるから、また手品を見せてほしい」。
菊地さんは「16年続いた交流会は私の宝物。元気をいただいてきました。最後になるのは残念ですが、児童のみなさんには元気に育ってほしい」と話していた。(江川慎太郎)