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 さまざまな細胞に変化できるマウスの幹細胞に特定の遺伝子を注入し、卵子の状態に5日間で成長させる方法を九州大などの研究チームが開発した。従来は約1カ月かかっていた。一度で大量に卵子をつくることも可能なため、不妊治療の研究などへの応用が期待できるという。16日付の英科学誌ネイチャーに論文が発表される。

 チームの林克彦・九大教授(生殖生物学)らはこれまでマウスの幹細胞を卵子に成長させ、通常の精子と受精して出産させることに成功してきた。ただ、幹細胞が卵子になる詳しい仕組みは分かっていなかった。

 チームは仕組みを解明する過程で、特定の4~8遺伝子を注入すれば幹細胞が卵子の状態に変化することを確認。さらに、この方法を使えば、幹細胞が卵子の状態に成長する時間を5日間と大幅に短縮できた。一度にできる卵子の数も10倍以上に増えた。

 卵子を体外で人工的に効率良くつくれれば、不妊治療の研究にいかせると期待されている。卵子に含まれる成分は、遺伝性の難病「ミトコンドリア病」の治療に生かせることも知られており、今回の成果は難病分野の研究でも期待されている。

 ただ、今回の卵子は受精させても成長が途中で止まるといい、正常に育つよう研究を進めるとしている。(竹野内崇宏)