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 オーストラリア政府は16日、中国が豪州産大麦に高関税をかけたことは不当だとして、世界貿易機関(WTO)の紛争解決手続きに訴えた。両国の関係は今年に入って急速に悪化し、中国が豪産品の輸入にブレーキをかける動きが続いている。

 中国は5月、豪産大麦に対して計80・5%の反ダンピング(不当廉売)関税と反補助金関税を課した。豪政府の灌漑(かんがい)整備の支援策などが価格を押し下げているとしているが、豪州側は根拠がないと反論してきた。

 中国は11月から12月にかけて、豪産ワインにも最大で計218%の高関税をかけた。さらに検疫の強化などを理由に、豪州産の牛肉や石炭、綿花、木材、ロブスターなどの輸入にも停滞の動きが出ている。バーミンガム貿易相は16日、他の品目についてもWTOへの提訴を検討しているとした。

 豪州では、中国の一連の措置は豪州への「圧力」と受け止められている。豪州は4月、中国の新型コロナウイルス対応についての国際的な調査を要求。その後も、香港での民主派の取り締まりを批判し、安全保障分野で同盟国の米国に加えて日本やインドと協力する姿勢を強めていることに中国が反発しているためだ。

 モリソン首相は15日、対中関係の悪化を問われ、「政治的な事柄と貿易上の関係を一緒くたにすることを懸念する。豪州の主権は決して売り渡さない」と述べ、妥協する姿勢を見せていない。(シドニー=小暮哲夫)