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 人口や産業が集中する大都市がひとたび大地震や大水害に見舞われれば、被害は増幅し、全国に影響が及ぶ。東日本大震災でも首都圏は大きな揺れを経験したが、直下で地震が起こればその比ではない。大都市のあり方そのものを事前に見直していくことが課題になる。

都市に潜むリスク

 2011年3月の東日本大震災で東京は震度5強の揺れに見舞われた。超高層ビルは長時間揺れ続け、エレベーターや鉄道は停止。帰宅困難者が路上にあふれ、道路は深夜まで大渋滞に。コンビニからは物がなくなった。壊れた建物は一部にとどまったものの、落ちてきた天井で亡くなった人もいた。

 もし、直下で地震が起こればどうなるか。1995年1月、都市直下型の阪神大震災では、震度7の揺れによって住宅の倒壊が相次いだ。火災が広がって救出や消火が追いつかないまま多くの人が亡くなった。電車も脱線した。地震発生は午前5時46分。ラッシュ時だったら、さらに大きな被害になっていたはずだ。

 2018年6月、震度6弱の大阪北部地震が起きたのは午前7時58分。登校中の小学生が倒れてきたブロック塀で命を落とした。鉄道が止まって多くの人が足止めされ、エレベーターの閉じ込めも多発。ガスや水道も止まり、都市のもろさが改めて浮かんだ。

 国は首都直下地震の最悪ケースで死者2万3千人、経済被害95兆3千億円を見込む。大阪や名古屋も南海トラフ地震で激しい揺れが想定され、大阪市の中心部には活断層が南北に走る。

 都市は戦後、大災害のない時期に膨れあがった。近年の東京は、都心回帰による人口の増加傾向も目立つ。東京一極集中の是正が繰り返し唱えられてきたものの、解決の道筋は見えない。

 11月にあった国土交通省の専門委員会では、地震リスクを考えて居住地を選んでいる人は、東京周辺でも3割程度にとどまるとの調査結果が紹介された。東京生まれの世代が増え、高齢化による退職者や介護需要の増加で若者の流入が見込まれるなど、構造的な問題も課題に挙がった。

 委員からは「テレワークなど生活習慣を変えていく必要がある」「地震のリスクが大きくても一極集中の是正には必ずしも効かない。これまでの延長線上で考えても難しい」との声が出た。

 被災する人や建物が多いと、避難所や仮設住宅も追いつかない。大量の災害廃棄物も課題になる。

 地震は防げなくても、被害は対策によって減らせる。日本学術会議は3年前、「大震災の起きない都市」を掲げた提言を公表した。都市への集中を緩和するとともに、建物の耐震性を1・5倍程度に高めて機能を維持。地震後もとどまれるようにし、ほかの地域への影響も小さくする。提言に携わった田村和夫・建築都市耐震研究所代表は「集まっていることで被害はより大きくなる。地域全体を災害に強くしていかなければならない」と話す。

 水害時に逃げられる場所や浸水に強い建物を増やすことも課題になる。国や東京都は、公園や公共施設を生かした「高台まちづくり」を打ち出した。大水害になれば建物は孤立、救助や排水に時間がかかる。東京のゼロメートル地帯では100万人単位の広域避難が必要とされ、避難先や道路渋滞、鉄道の計画運休との調整など課題は山積みだ。

 首都圏は富士山の噴火の影響も懸念される。国の報告書によれば、わずかな降灰で交通や物流が混乱。処分が必要な火山灰は東日本大震災の廃棄物の10倍に上る。

備えどこまで

 首都の備えはどこまで進んでいるのか。

 東京都は木造住宅が集まる地域…

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