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 建設現場でアスベスト(石綿(いしわた))を吸って重い健康被害を受けた元作業員や遺族らが国と建材メーカーに賠償を求めた集団訴訟で、国の賠償責任が初めて確定した「東京訴訟」の原告らが17日、都内で会見を開いた。判断を確定させた14日付の最高裁決定を評価し、「命あるうちに解決を」と国に対応を求めた。

 「知らず知らずに涙が出ました」。原告団長の宮島和男さん(91)は、最高裁決定の内容を告げる電話を受けたときのことをそう振り返った。「提訴から12年。この間に198人の原告が亡くなった。慰霊とうれしさと、複雑な涙です」

 宮島さんは15歳から電気工として働き、30歳のころに独立して個人事業主の「一人親方」になった。配線工事でビルの天井裏をはうと、石綿の粉じんが懐中電灯の光の中で浮かび、息苦しさを覚えた。「静かな時限爆弾」と呼ばれる石綿の被害がはっきりしたのは70歳のころ。肺がんと診断された。

 東京訴訟の一審・東京地裁は、一人親方は法が保護する「労働者」ではないと判断。二審・東京高裁が一転して救済対象と認め、最高裁の決定で確定した。

 集団訴訟は全国で計17件あるが、当初の原告の7割は亡くなり、生存する人の大半は70~80代だ。東京訴訟の小野寺利孝弁護団長は「命あるうちに解決をというのは単なるスローガンではなく、現実的な要求だ。国は判決を待たず、政治解決で全ての被災者を救済してほしい」と訴えた。(阿部峻介)