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 国営諫早湾干拓事業を巡り、研究者グループが長崎県諫早、雲仙両市で実施した住民アンケートで、同事業の堤防排水門の開門の是非を巡る一連の裁判が「紛争解決には役立っていない」と答えた諫早市民が、「役立っている」と答えた市民より多い結果となった。

 アンケートは、立命館大や佐賀大の研究者らが9~10月、18歳以上の諫早市民1600人、雲仙市民500人を対象に郵送で実施。34・8%の回答を得た。

 開門をめぐっては、福岡高裁が2010年、有明海の漁業者らの訴えを認め国に開門を命令。一方、長崎地裁は17年、干拓地の営農者らの開門差し止めの訴えを認めた。対立する確定判決が並び立つ状況で、住民間の対立も残っている。

 司法の場での和解協議も不調が続く中、回答した諫早市民の約3割が、裁判が対立解消に「役立っていない」と回答。「役立っている」の約2割を上回った。一方、雲仙市民では「役立っている」の方が上回った。

 紛争解決の手段については、諫早市民では「専門家による調整」を挙げた人が最も多かったが、裁判所による「統一的な判断」「和解の働きかけ」への期待も続いた。

 2日に長崎市で記者会見した佐賀大経済学部の児玉弘准教授は「裁判所主導の和解の持つ意味はあると言えるのかもしれない」と述べた。研究者グループは今後、集計結果の分析を進める予定だ。(小川直樹)

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