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 大阪府摂津市が、運転免許を自主返納した高齢者に、所有者が引き取りに来ない放置自転車を無償譲渡し始めた。返納を促して事故防止を図るとともに、高齢者の外出機会を増やして健康増進をめざすのがねらいだ。全国的にも珍しい取り組みだ。

 高齢ドライバーによる事故はしばしば問題になってきた。「人生100年ドライブ」と命名された摂津市の事業は、運転免許証を自主返納した65歳以上の市内在住者が対象だ。市道路交通課の窓口で申請すれば、後日、市内の放置自転車等保管事務所で自転車が引き渡される。

 自転車は所有者の引き取りがなく、市が公示してから半年以上が過ぎたもの。通常は鉄くずとして処理している。今回の事業では同事務所で申請者が対象の自転車の中から選ぶことができる。

 今年4月から受け付けており、今月16日までに約95人が申請した。

 11月19日には初めて譲渡する記念の式典があり、35人に自転車が引き渡された。森山一正市長は「車のハンドルから、今後は自転車のハンドルを握ることになる。それぞれ安全安心に取り組んでもらい、新たなる生涯現役をめざしてほしい」と述べた。

 自転車の引き渡しを受けた男性(75)は「摂津市内は交通量が多く、事故を起こさないように、と免許を返納した。譲渡は放置自転車の再利用にもなって、いいと思う」と話した。

 府警の統計によると、昨年の時点で運転免許証をもつ府内の65歳以上の人は約92万2千人で、4年前より約3万3千人増えた。

 一方、昨年1年間に免許を自主返納した65歳以上の人は約4万3千人で、5年前の約2倍になっている。(瀬戸口和秀)