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 サッカーJ2の徳島ヴォルティスが、7季ぶりのJ1昇格を決めた。ポカリスエットスタジアム(鳴門市)で16日にあった大宮アルディージャとのホーム最終戦を1―0の勝利で飾り、試合終了の笛と同時に、選手たちはピッチ上に倒れ込んで喜びをかみしめた。サポーターは歓喜に沸いた。

 勝てば無条件で昇格が決まるこの試合。スタジアムには約5500人のサポーターが駆けつけ、「勝利のみ」「俺たちをJ1に連れて進め!」など、熱い気持ちがこもった横断幕が掲げられた。

 試合は序盤から、徳島が相手陣内でボールを保持し、積極的に攻撃を仕掛けた。前半21分、右サイドで相手DFの裏に抜け出したMF浜下瑛選手がゴール前に上げたクロスにFW垣田裕暉選手が頭で合わせ、先制点を奪った。このゴールが決勝点となった。

 昇格まで「あと1勝」となってから前節までの2試合は足踏みした。しかも無得点。そんな危機を今季17得点でチーム得点王の垣田選手が救った。

 「いいクロスを上げてくれるので、決めないといけないという思いが強かった。チームを勝たせる選手になりたいと思って練習してきた。自分のゴールで勝ててよかった」。垣田選手は試合後、笑顔で話した。

 試合は後半も攻撃のペースを緩めず、何度もゴール前で好機を作った。しかし、得点を決められない。逆に大宮にカウンターで攻め込まれる場面もあり、嫌なムードが漂った。

 それでも守りに入らなかった。リカルド・ロドリゲス監督は後半37分、攻撃が持ち味のMF岸本武流選手を投入し、追加点を狙った。最後まで攻め続け、1―0のまま試合は終了。歓喜の瞬間が訪れた。

 サポーターの歓声と拍手がスタジアムに響き渡った。ロドリゲス監督は選手に駆け寄り、次々と抱擁を交わした。試合後の会見では、「選手たちは勝てば昇格のプレッシャーがかかる試合を冷静に戦ってくれた。結果が重要だったが、試合内容も良かった」と語った。

 徳島は2013年、四国のクラブで初のJ1昇格を果たしたが、翌14年にはリーグ最下位でJ2降格の憂き目に遭った。15、16年は下位に低迷。17年シーズンにロドリゲス監督が就任すると、前線からボールを奪い、長くボールを保持して試合を支配するスタイルがチームに根づかせた。17年は昇格プレーオフ進出圏内にあと一歩の7位、昨季は4位でプレーオフの最後の一戦で昇格を逃した。着実に力を付け、今季は開幕から好調を維持。30節からは首位を譲っていない。

 昇格を決め、ピッチ上で目に涙を浮かべた主将のMF岩尾憲選手は「昇格できて本当によかった。決まった瞬間は辛(つら)かった思い出が頭に浮かび、自然と涙が出てきた」と感極まった。

 今季は残り1試合。20日に2位アビスパ福岡とアウェーで戦う。徳島が勝つか引き分ければ優勝が決まるが、得失点差が14あり、負けても優位な状況だ。(長妻昭明)

徳島ヴォルティスの歩み

2004年 徳島ヴォルティス設立。四国初のJリーグ加盟クラブに

   05年 J2参戦。初年度は12チーム中9位

   13年 22チーム中4位でプレーオフに進出、初のJ1昇格

   14年 J1で18チーム中18位の最下位、J2降格

   17年 スペイン人のリカルド・ロドリゲス監督が就任

   19年 22チーム中4位でJ1昇格プレーオフに進出したが、敗退

   20年 2度目のJ1昇格を決める

     ◇

 〈徳島ヴォルティス〉前身は1955年創設の大塚製薬サッカー部。四国リーグやJFL(日本フットボールリーグ)を経て、05年からJリーグに参戦した。県や市町、地元企業などが出資。ヴォルティスとは、イタリア語で「渦」を意味する「VORTICE(ボルティチェ)」から生まれた造語。豪快な鳴門の渦潮のように、パワー・スピード・結束力を兼ね備え、観客を興奮の渦に巻き込むチームを目指す。