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 【鹿児島】薩摩藩出身で明治政府を経て実業家として活躍した五代友厚の生涯を描いた映画「天外者(てんがらもん)」が全国公開された。7月に早世した三浦春馬さん最後の主演映画。13日に鹿児島市内の映画館で舞台あいさつした田中光敏監督や共演者らは、五代の魂を「春馬と描きあげた映画」への思いをつづった。

 五代は薩摩藩士らの英国留学を進言して自らも渡英。明治維新後は政府の役人から実業家に転じて商都大阪の発展に貢献し、1885(明治18)年に49歳で死去した。

 映画では、武士の心と商才を併せ持った五代を三浦さんが熱演。幕末から明治の激動期の群像が描かれ、三浦翔平さんが坂本龍馬を演じ、西川貴教さんが岩崎弥太郎役を好演している。舞台あいさつではこの2人のほか、鹿児島出身の榎木孝明さん、田上晃吉さんがマイクを握って、三浦さんとの思い出を披露した。

 田中監督は、三浦さんに「今だけ金だけ自分だけ、そう思っている人がたくさんいる。その対極にいる、今ではなく未来を考え、お金以外の価値観や利他の心を持った主役を演じてほしい。そういうことが必要になると映画で伝えたい、伝えてほしい」と求めたと明かし、あいさつを締めくくった西川さんは、観客に「ここにあるすべてを、目ではなく心で受け止めてください」と呼びかけた。

 映画の企画は2013年にスタート。五代の志を次代に伝えようと、大阪弁護士会所属の廣田稔さんら有志が「五代友厚プロジェクト」を立ち上げた。資金集めには県内の企業・団体が協力。薩摩藩英国留学生が船出した縁から、いちき串木野市がふるさと納税を活用して約150万円を集めた。

 10月に同市で報告会を開いた製作委員会の代表でもある廣田さんは「五代さんは数々の功績がありながら、歴史から埋もれ『政商』とも表現された。映画は、偉業をなした人がなぜ表舞台に出てこないのかを知る材料。若者たちと一緒に学ぶことで『歴史が生きる教科書である』という意味が分かってくる気がする」と話していた。

 公開初日から3日間の観客動員は11万7959人、興行収入1億6653万円と、「大ヒットスタートを切った」(製作委員会)。県内の上映館は、鹿児島市のTOHOシネマズ与次郎、鹿児島ミッテ10、天文館シネマパラダイスと、姶良市のシネマサンシャイン姶良の4館。(城戸康秀)

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