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 新型コロナウイルスの感染が群馬県内でも猛烈な勢いで拡大し、医療現場では懸命の対応が続いている。県が335床確保する感染者病床の稼働率は50%を超え、最前線の医師からは「もう限界に近い」と悲鳴も聞こえてくる。(森岡航平、中村瞬、寺沢尚晃)

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 前橋赤十字病院(前橋市朝倉町)は、症状に応じて感染者を各病院に振り分ける「病院間調整センター」として調整役を担う。

 同院の中村光伸医師は、感染者病床の稼働率が上昇している現状に、「現場の感覚では50%超というより、もう病床は限界が近い」と語る。

 受け入れ先の病院は患者の退院から次の患者の入院までの準備態勢をはじめ、受け入れ可能な性別などに条件があり、調整が難航するケースが増えている。

 80~90代の感染者は寝たきりの場合も多く、入院の受け入れには通常よりも人手が必要になる。病床が空いていても、看護師らの手が足りずに受け入れがスムーズに進まないことも。「感染者がさらに増えると、最善の治療ができなくなる可能性も出てくる」

 年末年始に向けて医療現場の逼迫(ひっぱく)が予想される。「もともと休日は感染者の受け入れが難しい。担当者も休まないわけにはいかず、さらなる調整の難航が予想される」と中村医師。「どこで感染が収まるかも見えない。一人ひとりが、自分が感染している可能性も考えて行動してほしい」

 別のある感染症指定医療機関では、感染者病床が満床となり、1人が退院しても次の患者が即日入院するという状況の繰り返し。一般病床を減らし、感染者病床に転換してなんとかやりくりしている。

 担当者は「医療従事者は二次感染予防への精神的な負担も相当大きい」と打ち明け、「県内にも無症状の感染者が相当いるのではないか」と懸念する。

 冬は心疾患や脳卒中といった急病患者も多く、医療態勢が逼迫する傾向にある。年末年始は例年より多くの人員を配置して対応するものの、現状では一般病床も満床といい、「綱渡りの状態。一刻を争う救急患者を受け入れられず、域外への搬送となるケースがいつ起きてもおかしくない」と危機感をあらわにする。

 入院患者への面会を禁止し、取引業者の院内への立ち入りも制限しているが、「理解してもらえない患者や家族もいる」とも明かす。「病院は感染が広がりやすい危険な場所。誰もが感染源になりかねないことを認識してほしい」

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 感染症指定医療機関ではない病院もコロナ対応に追われている。

 黒沢病院(高崎市矢中町)は11月30日、感染急拡大を見込んで病院敷地内にプレハブの発熱外来仮設診療所を開設した。連日15人前後を診察し、これまでに3人の陽性が判明した。

 黒沢功理事長は「発熱外来の設置で、ほかの患者への感染を警戒せずに診察できるようになった」と話す。年末年始も午前中、発熱外来を開くといい、「濃厚接触者だけでなく、より広く検査する態勢にした方が、無症状者からの感染拡大を防げる」と提言する。「医師の立場からすれば、Go To事業の一時停止はもっと早いほうがよかったが、経済のことも考えると判断はなかなか難しかったと思う」

 医療機関でのクラスター(感染者集団)が相次ぐ中、各病院は院内感染防止にも神経をとがらせる。

 吾妻地域の中核病院の一つでPCR検査を実施している西吾妻福祉病院(長野原町大津)では、防護服の脱着や消毒などに手間がかかり、コロナ対応に付随する業務が増加。医師や看護師、職員には私生活でも感染防止策を徹底するように繰り返し促している。

 マスク着用、手洗いや消毒、毎日の検温、大人数の会食をしない――。担当者は「人手が足りなくなって迷惑をかけるから、と無理して出勤するのが最も危ない。地域の医療態勢を守るために自己管理を徹底するしかない」と話す。

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 県は17日、新たに48人の新型コロナウイルス感染が確認されたと発表した。累計の感染者は1819人(死者28人)となった。

 新規感染者の居住地別の内訳は、伊勢崎保健所管内10人、館林保健所管内7人、前橋市、渋川、太田両保健所管内が各6人、高崎市、桐生保健所管内が各4人、富岡、安中、利根沼田の各保健所管内が各1人、県外が2人。

 県によると、クラスター(感染者集団)が発生したみどり市の恵愛堂病院では新たに職員2人の感染が判明。この病院関係の感染者は計21人になった。