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 三菱自動車は7月、子会社の「パジェロ製造」(岐阜県坂祝町)が運営する完成車工場の閉鎖などのリストラ策を発表した。パジェロはすでに国内向けの生産を終えていたが、海外向けの生産も2021年9月末までに終える。従業員約1千人の配置転換や再就職支援が動き出した。

 パジェロは1982年に発売され、今年10月末までに323万7千台が生産された。柴山佳也・坂祝町長は会見で「『パジェロの町』という感覚でいた。大変寂しさを感じている」と落胆した。工場に勤めている町民は215人。2019年度の町税収入約11億5700万円のうち、町民税や固定資産税などを含めたパジェロ製造関連分は約1億8千万円で15・6%を占める。文字通り町を支える看板企業だ。

 11月25~27日に延べ192社が参加する再就職支援の「合同企業ガイダンス」があった。3日間で延べ約990人が出席した。次の職を探さねばならない従業員の「不安」や「心配」が表れた人数だと思った。

 ガイダンスに出席した男性従業員(45)は高校を卒業してから勤めて26年。「ゼロからモノ作りを教えていただいた」と感謝しつつ、「こういった結果になり残念。モノ作りをする会社を1社1社確認しながら探し、どう生計を立てていくか考えたい」と話した。やはり高卒後に就職して約15年になる女性従業員(32)は「定年まで働くつもりだったので、今後の生活が一番不安」。4歳の子どもがおり、こうした母親の再就職先探しに会社側がどこまで力になれるのか、考えさせられた。

 ガイダンスがあったフロアには、外国向けのパジェロと、1985年のパリ・ダカールラリーで初めて総合優勝したパジェロを並べて展示していた。その脇に「HISTORY」と大文字で題された解説コーナーがあり、「時代をリードしてきた物語」というフレーズに目が留まった。

 世界一過酷とされたパリ・ダカールラリーでは、2007年までの7連覇を含む12度の総合優勝を果たし、何度もニュースで見た記憶がある。実車を見て、砂漠を疾走する姿が浮かんだ。外国向けの車は車体が長めで、全体的に流麗な姿だと感じた。

 「乗ってみたかったな」と思った。私は子どもが4人いて、数回の北海道勤務がある。レジャー用多目的車は重宝で、別会社のRVを約20年乗って廃車にした。家族で行楽に出かけた際にパジェロとすれ違った記憶は多い。先輩記者も何人かパジェロを自家用にしていた。パジェロには、確かに「時代を先導した歴史があるな」と、懐かしい記憶が浮かんだ。(吉田芳彦)

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