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 神戸市北区山田町の広大な里山に、甲子園球場28個分(約108ヘクタール)にも相当する大規模な太陽光発電施設(メガソーラー)を建設する計画が進んでいる。だが一部住民は建設に反対し、住民1人は事業者からの説明を求めて市議会に陳情。市議会も賛成多数で陳情を採択する事態になっている。

 「山田のきれいな里山に太陽光発電が必要なのか疑問だ。住民の不安に対して、(事業者は)きちんと説明してほしい」。今月1日、神戸市議会の福祉環境委員会で、山田町東下地区に住む池本哲雄さん(70)は訴えた。

 事業者は神戸山田太陽光発電所合同会社。市によると、計画は山田町の坂本、東下、中各地区にまたがる事業区域107・4ヘクタールのうち41ヘクタールを造成し、約12万枚の太陽光パネルを設置するというもの。事業者側の事前調査で、区域内にはスミスネズミやカスミサンショウウオなど希少な動植物が142種生息していることが確認されている。

 同社は、環境アセスメントの手続きによる住民説明会を2017年~19年に5回開催。市は今年2月、市の太陽光発電を規制する条例に基づきメガソーラーの設置を許可した。さらに3月、市は同社と協定を結び、総工費の5%にあたる5億円を撤去費用として積み立て、事業終了後は速やかにパネルを撤去し、早期の緑化に努めることを義務づけた。

 だが市によると、同社が開いた住民説明会の参加者は5回で計23人。さらに、うち4回の説明会は山田町から約5キロ離れた北区鈴蘭台で開催しており、地元の山田町での説明会は1回(参加者は10人)に限られていたという。

 池本さんによると、東下地区の住民の多くは住民説明会が開かれていたことを知らず、3月に市と同社が協定を結んだ後に建設計画のことを知ったという。同社は、計画に関わる各地区と任意の協定を結ぼうとしているが、東下地区は協定締結に反対している。池本さんは「住民がきちんと理解するまでは事業を停止してほしい」と話す。

 陳情の採択を受け、市の担当者は「地元が事業者から十分な説明を受けていないのは不十分な対応。事業者には住民説明のための資料を用意するよう指導した。今後、説明の機会をつくるよう求めていく」と話している。(遠藤美波)