佐々木洋輔
拡大する宝津飯店の店の前に立つ堀津渉造さん、茂子さん夫婦。通行人のあいさつに笑顔で応えた=2020年12月4日、津市大谷町
師走も押し迫ったある夜のことだ。「ドンドン、ドンドン」。津駅の西口前にある中華料理店「宝津飯店(ほうしんはんてん)」(津市大谷町)のドアをたたく音が響いた。この日の店はすでに閉店。店内で休憩していた店主の堀津渉造さん、茂子さん夫婦はともに「酔っ払いかしら」と思った。
「もう終わりです」。そう声をかけようと、茂子さんがドアを開けると、50代くらいの男性が立っていた。
男性は茂子さんを見るなり、「すみませんでした」と謝罪した。
夫婦はひと目では誰かわからなかった。だが、まもなく思い出した。
「あっ、あのときの」
30年ほど前、店でアルバイトをしていた男性だった。
バブル経済が華やかなりし19…
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朝日新聞社会部