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 政府が2050年と目標を定めた脱炭素社会を先取りし、空き家になっていた築40年の平屋を、自然エネルギー100%のエコハウスに変身させることができるのか。山梨県北杜市で始まった八ケ岳エコハウス「ほくほく」プロジェクトは快調に進んでいった。と言いたいところだが、現実には数多くの難局に直面した。

 解体作業を進めるうち、次々と惨状が明らかになったからだ。一部の柱が腐って細くなっていたのは序の口で、壁の中でアリや蛾(ガ)がびっしりと巣を作っていたり、施工の失敗からか、基礎の上に柱が載っていない箇所があったりと、エコハウスづくりというより、建物が倒れないようにする基本的な補修作業に多くの力が払われることになった。「なんでこういうことになったのかなあ、この家は」と工事を担当する梶原建築の3代目大工、梶原高一さん(40)を悩ませた。

 だが、建築素人の僕にとっては、プロの大工さんと進める一つ一つの作業が新鮮だった。土がむき出しの床下に防湿シートを敷きこんだり、180ミリの極厚断熱を仕込んだり。梶原師匠に一つ一つの作業の意味と施工手順を教えてもらいながら、自分の手で、我が家をつくっていく喜びがある。

 解体作業のワークショップに参加した佐藤博士さん(65)が設置してくれた太陽光発電+蓄電システム、名付けて「ほくほく電力」は、電気工具のバッテリー充電はお手のもの。たくさん電気を使って圧縮空気を作り出すコンプレッサーや、太い木もカットできる大型丸ノコも動かすことができた。晴れていれば、だが……。

 晴天率がいくら高い北杜市だって、お天道様がそっぽを向く日はある。いままさに柱をカットしたいと丸ノコに手をかけるけれど、太陽の力及ばず、刃がまわらないこともあった。

 「不便かけてすみません」と師匠に言うと、「電気の使い方なんて、これまで考えたこともなかったからいい経験です。なければないで知恵をしぼります」と、不平も言わずに違う作業にかかった。

  東日本大震災を福島赴任中に経験し、原子力発電所の事故で多くの人の家や土地が奪われる姿を間近で見た記者は、2012年に節電の道を歩み始めました。電力会社との契約を5アンペアに下げ、1カ月の電気代は200円弱。電力会社の電気をほとんど使わないで暮らせるようになりました。その後、結婚し、子どもが生まれたことで節電生活は見直しを迫られましたが、元の電気じゃぶじゃぶ生活に戻るつもりはありません。目指すのは「自然エネルギー100%」の暮らしです。

 そう。この精神こそ、僕が節電…

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