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 新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、米英などでワクチンの接種が始まりました。日本政府も年度内の接種開始を目指しています。このワクチンについて、効果や安全性に対する期待、不安が報じられる際、よく見聞きするのが「治験」(ちけん)という言葉です。治験とはいったい、どんなものなのか、国によって仕組みや進め方に違いはあるのか。日本製薬工業協会(製薬協)の日吉裕展(ひろのぶ)・医薬品評価委員長に聞きました。

そもそも治験とは?

 ――治験とは何ですか?

 医薬品や医療機器の有用性や安全性を検討するためにヒトを対象に行われる研究を『臨床試験』といいます。その中でも、企業が新薬や新しい医療機器を国に承認してもらうために法律や省令に従って実施する臨床試験を日本では治験といいます。患者さんは安全で効く薬を使ってほしいと思うでしょうし、医師も有効性、安全性、その他の特徴が分からないと、どのような患者さんに何を投与してよいか分かりません。治験は将来、薬となる『候補』について、安全で有効性があるか段階的かつ慎重に確認していくための手段と言えます。

 ――どのような過程がありますか?

 感染予防のワクチンも治療薬も基本的に流れは同じですが、分かりやすく説明するため、錠剤で服用するような一般的な治療薬を例に説明します。新しい医薬品が開発される過程では、治験を開始する前に培養細胞や実験動物を用いて治療薬候補の有効性や安全性を確認します。特に安全性の評価では、かならず動物実験を実施する必要があり、マウスやラット、イヌなどを使って行われるのが一般的です。動物愛護の観点から、できるだけ使用する動物の数を減らす努力や痛みを軽減させることも求められています。

 ――そこからヒトに対する治験に移るのですね。治験にはどんなステップがあるのですか?

安全・安心のための決まりは?

 一般的には、『第1相』と言われる段階で健康な人を対象に安全性、薬物の吸収や体内への分布の仕方などを確認します。この段階をクリアすると、患者さんを対象に適切な投与量、投与間隔、投与期間などを確認する「第2相」に進みます。最後の『第3相』では、第2相で確認された最適な投与条件を用いて、より多くの患者さんに対して有効性と安全性を検証します。

 ――治験への参加者募集の案内…

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