阿波市の鳥インフルエンザ 8千羽を殺処分

雨宮徹 吉田博行
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 徳島県阿波市の採卵鶏農場の鶏から19日、H5亜型の鳥インフルエンザウイルスが検出された。県は未明に危機管理対策本部会議を開き、この養鶏場の鶏の殺処分を始め、午後5時半には8149羽すべての処分を終えた。発生養鶏場から半径10キロ以内を移動制限や搬出制限区域に指定したほか、既設を含めた周辺8カ所に消毒ポイントを設置するなど感染拡大の防止にも努めている。

 県畜産振興課によると、この養鶏場で死んでいた鶏から18日の簡易検査で陽性反応が出た。検体を徳島家畜保健衛生所で遺伝子検査した結果、19日午前0時半ごろ、H5亜型のウイルスが検出された。鳥での感染力や致死率が高い高病原性の疑いが高く、国の機関で検査している。

 ウイルス検出を受け、県は午前2時から、農林水産省の担当者を交えた危機管理対策本部会議を開催。待機していた県職員らに殺処分や消毒などを始めるよう指示した。約250人が交代で作業にあたった。

 県は、発生養鶏場から半径3キロ以内(阿波市)を鶏や卵の移動を原則禁じる移動制限区域に、半径3~10キロ以内(阿波市、美馬市吉野川市)を区域外への持ち出しを原則禁じる搬出制限区域に指定した。移動制限区域では10戸の養鶏場で約17万5千羽、搬出制限区域は44戸の養鶏場で約66万5千羽を飼育している。

 県はまた、制限区域付近の主要道路に消毒ポイント8カ所を設け、通行する養鶏関係車両の消毒も始めた。阿波市阿波町桜ノ岡にある「土柱そよ風広場」をはじめ阿波市内が5カ所、吉野川、美馬、つるぎの3市町が各1カ所。このうち阿波市内の県道2号と美馬市内の国道193号のポイントは、香川県の養鶏場での鳥インフルエンザ発生後に設置されていた。県内の消毒ポイントは計14カ所になった。

 飯泉嘉門知事は会議で「何としてもウイルスを封じ込め、感染拡大を防止しなければならない」と述べ、既存の消毒ポイントも含めた厳重な警戒を指示した。風評被害を防ぐため、県民に冷静な対応を呼びかけることも求めた。

 飯泉知事はこの日午後、県庁を訪れた熊野正士・農水政務官と会談し、原因究明や感染拡大防止策などについて協議した。(雨宮徹)

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 徳島県内で初めてとなる家畜の鳥インフルエンザが発生し、8千羽余りの採卵鶏が殺処分された阿波市の養鶏場。周辺では19日、寒空の下、白い防護服姿の大勢の県職員らが出入りし、上空をヘリコプターが旋回するなど物々しい雰囲気に包まれた。

 現場の養鶏場は木立に囲まれ、周囲から中の様子は見えなかった。出入り口のスロープの路面は消毒用消石灰が大量にまかれ、真っ白になっていた。「この農場に、家畜伝染病(高病原性鳥インフルエンザ)が発生したので、関係者以外の立入を禁止する」と記された県家畜保健衛生所の看板が立てられていた。

 養鶏場は、田畑が広がるなだらかな山の斜面の一角にあり、周囲には農業用の小さなため池が複数点在している。

 地元の農家の70代男性によると、ため池には野鳥が飛来することもあるという。隣接する香川県で鳥インフルエンザの発生が相次いでいたこともあり、「ひょっとしたらこの辺りでも起きるのでは」と心配していたという。

 18日夜から養鶏場前では白い防護服に身を包んだ人々の姿が目立ち始めた。19日朝にはバスでさらに大勢が到着し、養鶏場の敷地内へ列をなして入っていく様子が見えたという。

 男性は「異様な光景で、しばらくして鶏の鳴き声が聞こえたような気がした。生まれてからずっとこの地域で暮らしているが、こんなことは初めてだ」と驚いた様子で話した。(吉田博行)