【動画】上野・アメ横の鮮魚店主「最悪の年 来年こそは」=長島一浩撮影
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 新型コロナウイルスの感染拡大は人々の暮らしを大きく変えました。医療従事者、夜の街で働く人たち、インバウンドが消えたゲストハウス、東京五輪、パラリンピックが延期になった選手、厳しい状況の外国人留学生……。色々な立場の人たちを訪ね、コロナ禍に見舞われた「私たち」の2020年を伝えます。

拡大する写真・図版店内から声がけをする清水水産の持丸健康さん=2020年12月15日午後、東京・上野、長島一浩撮影

 年の瀬の東京・上野のアメ横商店街に、「めんたい500円、マグロ千円」と清水水産の持丸健康(たてやす)社長(33)の、野太い声が響く。商店街の10軒ほどの店のシャッターは閉まったままだ。

 4年前に社長を継ぎ、商売に手応えを感じ始めた矢先、コロナ禍でインバウンドが消え、地方からの観光客が激減した。今春、1日の売り上げは昨年の1割に満たない数万円の日もあった。

 それでも、持丸さんは昼食を取ることさえ忘れ、閉店まで声を出し続けた。今月から初めてネット販売も手掛けた。高校中退後から働き、20代で売り子7人中トップの成績を残した今の居場所を絶やせない思いがある。「逃げられない。やる気しかなかった。お客さんと話して魚を売るのが好きだから」

拡大する写真・図版店内から手を上げて声がけをする清水水産の持丸健康さん=2020年12月13日午後、東京・上野、長島一浩撮影

拡大する写真・図版店頭で販売されるシャケ=2020年12月15日午後、東京・上野、長島一浩撮影

拡大する写真・図版マスク姿で声がけをする清水水産の持丸健康さん=2020年12月15日午後、東京・上野、長島一浩撮影

 呼び込みと値切り。アメ横は、店と客の丁々発止のやりとりが魅力だ。アメ横商店街連合会の千葉速人副会長(66)は、変わった街の姿を嘆く。「こんな静かなアメ横は見たくない。終わりがいつなのか分からない」

 コロナ禍前は10万人に上ったアメ横の週末の来客は12月に入っても3万~4万人と、客足は戻っていない。まもなく、最大のかき入れ時の年末の買い出しを迎える。昨年末、アメ横には5日間で160万人が訪れたが、今年は大幅減が予想される。持丸さんは「不安しかないけど、在庫を残さないように、とにかく魚を売るしかない。来年は今年より良い方向に向くように」と前を向いた。=終わり(長島一浩

拡大する写真・図版お客に商品を紹介する清水水産の持丸健康さん=2020年12月13日午後、東京・上野、長島一浩撮影

拡大する写真・図版店頭にはタコやアジの開きなどが並んでいた=2020年12月15日午後、東京・上野、長島一浩撮影

拡大する写真・図版平日夜のアメ横商店街=2020年12月15日午後、東京・上野、長島一浩撮影