皇居・東御苑の「三の丸尚蔵館」に収蔵される皇室ゆかりの品々が、今年4月以降、地方の美術館などに積極的に貸し出されることになった。同館は2024年度まで改築工事中で、その期間を利用し、国宝級や重要文化財級を含む収蔵品を多くの人たちに見てもらおうという狙い。今後、オンラインで収蔵品を検索できる態勢づくりを進めていく。

 同館は、昭和天皇の死去に伴い、国に寄贈された美術・工芸品などを収蔵、展示する施設として1993年11月に開館した。その後、香淳皇后や旧秩父宮家を始めとする皇族方の遺品が寄贈された。

 宮内庁などによると、現在の収蔵品は約9700品。内訳は、国宝や重要文化財の候補になるAランクが約2500品、美術的・歴史的価値のあるBランクが約7100品。

 Aランクの作品のうち、「蒙古襲来絵詞(えことば)」は13世紀の鎌倉時代の作品で、肥後国の御家人・竹崎季長(すえなが)が2度にわたって九州博多周辺に来襲した「元寇(げんこう)」で戦った自らの功績などを記録した絵巻とされる。1890(明治23)年に当時の宮内省が買い上げた。益子焼の人間国宝・島岡達三の「地釉(じゆう)象嵌(ぞうがん)唐草文壺(もんこ)」は1982年、栃木県で開かれた全国植樹祭で同県知事から昭和天皇、香淳皇后に献上された。

 坂本竜馬が29歳の時に姉の乙女に宛てた手紙、当時の秩父宮家の創設祝いに献上された横山大観の「秩父霊峯(れいほう)春暁」なども収蔵されている。

 宮内庁によると、これまでも地方に数品を貸し出すことはあったが、今後は積極的に広報活動をしていくという。貸し出しは無料で、Aランク全品とBランクのうち、公開実績のあるものを合わせた計約3200品から優先的に貸し出す予定だ。

 宮内庁と文化庁は、今年度の補正予算案に約9500万円を計上。収蔵品の検索、照会をしやすくするため、同館の企画展の図録をデジタル化し、収蔵品のデジタルアーカイブを構築する費用が含まれる。2022~24年度には、国立博物館を含めて、毎年4館以上に計160品以上の貸し出しを目指す。(長谷文)