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 記録よりも記憶に残る、とはこんな選手を言うのだろう。プロ野球・阪神の上本博紀内野手(34)が21日、現役引退を表明した。早大野球部時代に誰よりも近くで彼のプレーを見てきた「先輩」が素顔の一端を紹介する。

 ポケット内のスマートフォンが振動した。16日の夕暮れ時。大阪市内で電車に乗った時だった。後でかけ直そうと思ったが、着信画面に映し出された名前を見て、すぐに駅のホームに戻った。

 「引退することを決めました。今までありがとうございました」

 明るい声だった。突然の報告にこちらは戸惑ったが、落ち着いた口調からは現役生活をやりきった、との思いが伝わってきた。

 上本博紀。プロ野球の阪神一筋12年で、この秋、球団から戦力外通告を受けた。他球団での現役続行の道を模索したがかなわず、来季から阪神アカデミーのコーチとして子どもたちに野球を指導することを決断した。

 上本と出会ったのは、15年前の春。早大野球部で私の1学年後輩だった。ポジションは同じ二塁手。広島・広陵高からセンバツ優勝の実績をひっさげてやって来た。「困ったことがあったらなんでも言ってこいよ」と先輩面していた私だが、そのプライドは、初めて一緒に練習した日に砕け散った。柔らかいグラブさばきとリストを生かした打撃。そのセンスを目の当たりにして、思った。「こりゃまいった」

 以来、特別な存在としてつき合…

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