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 1918年、富山から全国に広がった「米騒動」をテーマにした映画「大コメ騒動」が、1月から全国公開される。監督は富山市出身で「超高速!参勤交代」などで知られる、本木克英氏(57)。作品は運動の中心を担った当時の女性たちの奮闘記だが、現代との共通性も見いだせると語る。

 物語の舞台は、一連の騒動の発端となる富山の漁村。浜で米を担ぎながら3人の子を育てる「おかか(女房)」(井上真央さん)を主人公に、米の値下げや積み出し阻止のために奮闘する女性たちの姿を描く。

 米騒動を、女性が起こした市民運動と位置づける見方があるが、本木監督は「当時の女性らにとっては、生きる糧である米が奪われようとしていた。生きるか死ぬかの生々しさ、必死さが米騒動の発端にはある」と指摘。「運動」という言葉に回収できない切実さがあったと考える。

 その上で、そうした当時の状況は、現代の日本と重なる部分があるとも。「戦争、貧富の格差、女性差別……。現代でも改善されていない。当時の女性たちの必死さを見つめ直すことで、今の社会も見つめ直せるのではないか」

 ただ、作品は決してシリアスな調子だけではない。家に女性を連れ込んだ夫が、近所から集まった女房らにからかわれてやり込められる場面など、試写会では何度も笑いが起きた。

 随所にコメディーの要素を加え「おかか=肝っ玉母ちゃんたちの奮闘を、爽やかな笑いと感動の中で楽しんで学べる」作品に仕上げた。「映画は大きな伝達力のあるメディア。シリアスなテーマでも、笑える娯楽の要素を多く盛り込もうと心がけている」

 西村まさ彦さん、室井滋さん、柴田理恵さん……。作品には、富山出身の俳優を多く起用した。「富山弁になじみのある県出身の役者は、会話のテンポが非常に良かった。会話の場面は、日常を描くのにとても重要。実に生き生きとした場面にできた」と振り返る。主演の井上さんについても「富山弁ネイティブの役者に囲まれたことで、演技にためらいなく参加できていた」と評価した。

 自身も富山市出身。幼い頃から米騒動の話は聞かされてきた。ただ、騒動からすでに100年以上が経った。「当時を知る人もほとんどおらず、歴史の中に吸収されようとしている」。だからこそ、富山の人たちにもぜひ見てほしいと思う。

 「富山の人も、多少知識は深くても、実は知らないことがたくさんある。自分たちの暮らしがどんな人たちの奮闘の末にできているものなのか、再発見する映画になれば」

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 「大コメ騒動」は、富山県内では全国に先駆け来年1月1日に公開。全国公開は同8日から。(田添聖史)

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 米騒動 1918(大正7)年、米の価格暴騰で困窮した庶民が、全国各地で適正価格での販売を求めた運動。富山が騒動の始まりとされ、富山・魚津では、船による米の他地域への積み出しが高騰の原因だと考えた漁民の妻らが、積み出しをやめさせようと行動した。運動は全国に広がり、一部で商店の焼き打ちなど過激化した動きも。この騒動で、当時の寺内正毅内閣は総辞職に追い込まれた。

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