食品ロス削減へ税優遇措置自動処理
【神奈川】食品事業者が賞味期限の近い食品などを生活困窮者を支援するNPO法人などに提供する際に、品目などをインターネットで入力して省力化するシステムを、神奈川県平塚市が作った。税の優遇措置を受けるための書類が自動的に作成されるといい、事業者とNPOの双方にメリットがあるという。
システムは、市とNPO法人「フードバンクひらつか」(大関めぐみ理事長)が協力し、市内のシステム会社に依頼して作った。食品事業者がシステム上で食品提供を申し出ると、税制上の優遇を受けるための損金算入手続きに必要な合意書などが、自動的に作られる仕組みという。
市によると、市内では未開封食品の廃棄物は年間約2千トン。事業者が食品を廃棄する場合は、処分費と運賃で10キロあたり600円前後がかかる。開発したシステムを使うと、NPOが食品を回収するため処分費と運賃はゼロになる。一定のシステム利用料を請求するが、食品事業者にとってのコストも低くなるという。
フードバンク側は、これまでボランティアが手書きの台帳で食品を管理していたが、システム導入により、バーコードで読み取るなどして管理しやすくなるという。システム利用料はNPOの収入とし、これまでボランティアが自己負担していたガソリン代に充てる予定だ。
市は、生活困窮者の支援に充てる食品を増やす一方で、食品廃棄物を減らす効果もあるとみており、市の担当者は「生活困窮者と食品提供会社、市の3者の『三方良し』が実現できた」と話す。
フードバンクの担当者は「これまでは、ボランティアが帳簿に手書きして在庫を管理していた。高齢者が使いやすいシステムができた」と話した。
システムは来年1月から本格稼働する予定。食品提供の申し出や、フードバンクから支援を受けたい人は、ひらつかフードバンク(0463・79・5824、090・7271・0227)へ。(斎藤茂洋)
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