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 東京国立近代美術館工芸館が2020年秋、「国立工芸館」として金沢市で生まれかわった。東京という来訪者の利便性を犠牲にしてまでの地方移転だ。政治的施策の一環ながら、日本工芸を内外に紹介する国立の施設が首都を離れる試みは、将来の文化戦略を占う実験でもある。

 国立工芸館は、近現代の工芸作家の優品をコレクションする国内唯一の施設。金沢屈指の文化エリアという恵まれた立地に加え話題性もあって、開館記念展は好調な滑り出しをみせたようだが、その真価は“ご祝儀”の集客が一段落したあとに見えてくる。

 工芸は地域の素材や風土と切り離せない分野といわれる。地域性こそが日本工芸の多様性を担保する源泉であり、この施設が扱う作家性の強い芸術作品でも変わらない。

 開館特集を組んだ日本陶磁協会発行の専門誌「陶説」で、秋元雄史(ゆうじ)・東京芸大大学美術館長は北陸全体からの国際的な発信力に期待を寄せた。確かに、九谷焼や加賀友禅、輪島塗などをはぐくんだ工芸王国・石川県ほど移転先にうってつけの地はないし、地方分権の趨勢(すうせい)にもかなう。

 一方で、内外から訪れるより多…

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