ライター・知覧哲郎
鹿児島県三島村の村役場にこの冬、新しい「部署」が発足した。職員有志42人が所属する部署の名は「特酒(とくしゅ)営業部隊」。隊員の肩書も「酒(しゅ)ムリエ」「焼酎ウマイスター」などノリの軽さが目立つが、与えられた特命は「コロナ禍で売り上げが落ち込んだ村特産の焼酎の販売促進」と重い。しゃれっ気たっぷりに、でも行政らしく真面目に取り組みます、と「設置要綱」も定めた。
拡大する三島村産焼酎をPRする「セール酒班」の飯田隆志さん(右)と増野雄基さん=鹿児島市名山町の三島村役場
薩摩半島の南端から南南西に約40キロ離れた三島村は、三つの有人島(黒島、竹島、硫黄島)からなる人口約380人の村。県との連絡の利便性などを考慮し、村役場は村を往復するフェリーが発着する鹿児島市にある。
そんな村は2003年、地域活性化を目的に焼酎プロジェクトに着手し、18年秋には黒島で村営焼酎蔵「みしま焼酎無垢(むく)の蔵」を稼働させた。19年5月に地元産サツマイモのベニオトメを原料にした「みしま村」(720ミリリットル、3500円)約4千本を初出荷した。
今年度は、ユネスコの無形文化遺産に登録された硫黄島の仮面神にちなんだ新商品「メンドン」(同)を含めて約8500本分の原酒を確保したが、販売は約3割にとどまった。コロナ禍でイベントが相次いで中止され販売機会を失ったためで、島への観光自粛を求めたことも響いた。
村を代表する特産品の危機に、職員の発案で生まれたプロジェクトが特酒営業部隊だ。ユニークなネーミングには「コロナ禍の中だからこそ前向きに挑もう」との思いを込めたという。
大山辰夫村長ら三役をはじめ、…
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朝日新聞社会部