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 「桜を見る会」前日の夕食会の費用負担をめぐる問題で、安倍晋三前首相が東京地検特捜部から任意で事情聴取を受けた。保秘が徹底される特捜部の聴取とは、どのようなものなのか。

 「メディアに絶対に察知されないことだ」。リクルート事件などで政界捜査に携わった元東京地検特捜部長の熊崎勝彦弁護士は、政治家を聴取する際の心得をこう語る。

 東京地検特捜部が扱う一般事件では、容疑者や参考人の聴取は東京・霞が関の検察庁舎で行う。だが、政財界などの「大物」の場合はホテルを使うことが多い。熊崎氏は「地位のある相手だから優遇するわけではない。メディアに知られ報じられると大混乱に陥り、捜査に悪影響が出てしまう」と説明する。

 国会や東京地検近くの霞が関周辺の老舗ホテルのほか、池袋の高層ビルにあるホテルを使ったこともある。政治家側がホテルを指定することもあったという。ただ「警備が万全で、裏口もある所」にはこだわった。メディアに気づかれた時にスムーズに出られるようにするためだ。

 対面で事情を聴けるように部屋には机と椅子は必須だ。「スイートルームなど、おのずとある程度高いクラスの部屋になる」

 検事と政治家のほか、記録を取る事務官も同席するのは検察庁の取調室と変わらない。異なるのは、より高い緊張感を持ってのぞむことだ。「検事としての品性や矜持を保ちながら、真摯な調べをする」ことを心がけた。発する言葉一つひとつにも細心の注意を払ったという。

 多くの政界捜査を手がけた別の元特捜検事は「政治家個人というよりは、選挙で国民に選ばれた代表者であることを意識した」と話す。こうした重みがあるからこそ、特捜部が政治家に事情を聴く場合は法務・検察の最高幹部に了承を得るのが通例だ。

 政治家の聴取は、かつては取り調べにたけた副部長ら幹部が担うことが特捜部内の不文律だった。だが、今は一線の検事も調べる。ある検察幹部は「客観的な証拠が重視されるようになった。被疑者や参考人の口を割るプレッシャーがそれほど大きくなくなったからだ」と話す。(酒本友紀子)

カーテン閉めた車で地下駐車場へ

 特捜部の聴取では、どんなやりとりが交わされるのか。聴取を複数回受けたことがある上場企業の関係者の男性が取材に応じた。

 数年前のことだ。突然、特捜検…

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