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 政治とカネの問題をめぐっては、これまでも首相経験者や派閥の重鎮が東京地検特捜部の捜査の対象になってきた。その対応をめぐっては国民の支持を受けたこともあれば、厳しい批判を受けたこともある。

 全日空の旅客機導入をめぐり、米ロッキード社から政財界に工作資金が流れたロッキード事件。特捜部の捜査で田中角栄元首相の関与が浮上したが、検察内には「日本の信用をおとしめる」と逮捕に反対する意見もあった。だが首脳陣が「検察の威信をかけてやる」と抑え込み、1976年に田中元首相の逮捕に踏み切った。首相経験者が首相在任中の行為で刑事責任を追及されたのは憲政史上ほかに例がなく、「最強の捜査機関」の名をとどろかせた。

 苦い経験もある。1992年、東京佐川急便から5億円のヤミ献金を受けた金丸信・元自民党副総裁について、取り調べを見送って上申書の提出で済ませ、罰金刑で処理した。この対応が、「政界のドン」と呼ばれた金丸氏への優遇措置ではないかといった国民の疑念を呼び、検察は大きな批判を浴びた。

 橋本龍太郎元首相の派閥が日本歯科医師連盟側から受け取った1億円の献金を隠した事件でも、捜査のあり方が問われた。事件は2004年に発覚。橋本元首相は特捜部に事情を聴かれたが、嫌疑不十分で不起訴となった。村岡兼造元官房長官は政治資金規正法違反で有罪となったが、当時大きな権力を握っていたとされる野中広務元官房長官については、十分な説明がないまま不起訴(起訴猶予)となった。市民で構成される検察審査会はいずれも「不起訴不当」の議決をした。

 09年の鳩山由紀夫元首相の資金管理団体の偽装献金事件では、当時首相だった鳩山氏は事情聴取されず、事件の背景などを供述した上申書を提出。特捜部はこれで捜査を終え、鳩山氏を不起訴(嫌疑不十分)とした。鳩山氏が偽装に関わった形跡はなく、聴取の必要はないと判断したためだとされる。

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