杉浦奈実
拡大するイタヤハマキチョッキリ。本でも紹介しているが、それとは別の構図=原有正さん提供
真言宗の古寺の僧侶が独学で写真を学び、虫の写真集を出した。息を殺して小さな虫に集中するとき、そこに「宇宙」を感じるという。お坊さんが語る昆虫撮影の魅力とは。
虹色に光る羽、ふさふさの毛が生えた頭、金属光沢を思わせる複眼……。迫力ある見た目の虫たちの多くは、1センチにも満たない。兵庫県の原有正(ゆうせい)さん(53)が、庭や公園といった身近な場所に生きる虫を写し、約100種を紹介する「美しき小さな虫たちの図鑑」(山と渓谷社)が9月に出版された。
本には、カブトムシやカマキリといった人気者は登場しない。小さな寄生バチやハエ、ガなど、一見マイナーな種ばかりが並ぶ。ただ、そのいでたちは、はっと目をひく美しさだ。体長3ミリほどのグンバイムシ科の昆虫「トサカグンバイ」の羽は紫がかったステンドグラス、体長2センチほどで枯れ木にいるタマムシ科の「アオマダラタマムシ」は青緑の中に金粉を散らした工芸品のようだ。
拡大する「美しき小さな虫たちの図鑑」(山と渓谷社)
原さんは小さなものを大きく写すマクロレンズというレンズや、顕微鏡でピントを徐々にずらしながら何枚も撮った写真を合成し、奥から手前までピントが合った写真にする「深度合成」という技術を駆使する。
海外の写真サイトを参考に独学で腕を磨いた。完成写真1枚あたり100枚以上を重ねることもあるので、同じ虫を1千枚以上撮ることも多い。何とか虫の魅力を出したいと、角度や照明の当て方にこだわる。
■虫を撮るようになった理…
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