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 増え続ける心の病を理由にした公立学校教員らの休職。春以降は新型コロナウイルスへの感染防止対策も加わり、負担は増す一方だ。

 「教室の消毒など感染防止策に気配りせねばならず、平時より確実に教員の負担になっている。いつ倒れる先生が出てもおかしくない」

 教員や児童のクラスター(感染者集団)を経験した神奈川県内の公立小校長は、そう心配する。いまのところ心の病で休職中の教員はいないが、「どこで感染者が出てもおかしくない状況の中で、二度と出してはいけないという重圧や不安は相当大きい」と話す。「一人で抱え込まないしくみを作ることが大事だ」

 東京郊外の公立小学校に勤める30代の男性教諭は、「23区内の前任校では休んでいる先生が3人いた時期もあった」と言う。5、6年生の大半が学級崩壊のような状態になっており、保護者からのクレーム対応も負担になっていたという。

 教員同士の人間関係にも課題を感じている。「教員がそれぞれのハコ(担任する学級)の中にいるような感じで、支え合いを実感できなかったり、周囲に迷惑をかけたと感じたりして、苦しむ教員も少なくない。学級担任という制度自体の限界も感じる」という。

 千葉県内の公立小校長は、日頃から「横のつながり」を強めておくことを心がけている。

 かつては、コーヒーセットを教室に持ち込み、同僚と雑談するような時間があった。だが近年、教員は多忙になる一方で、そんな時間がなかなかとれない。そこで始めたのが、雑談の時間を意図的に作ることだ。

 職員室の一角に椅子とテーブルを置き、コーヒーやお茶を飲みながら気軽に話せる空間に。校長自らが雑談の種を投げかけ、会議などでは出にくい教員の声に耳を傾けているという。

 教員の年齢構成は50代と20代が多く、30、40代が少なくなっている。東京都教職員互助会三楽病院の真金薫子・精神神経科部長は、30代で休職者の割合が特に高い背景について「教職に就いてまだ数年でも、主任など重責を任され、負担感が強くなっている」と指摘。「授業中の立ち歩きや、外国にルーツをもつ子の増加など、児童生徒の多様性が増し、保護者の要望も個別化・多様化している。教員が問題を一人で抱え込まず、学校がチームとして対応できるかどうかが、いっそう重要になっている」と話す。

 新型コロナに見舞われた今年は「消毒作業や土曜授業の増加などで仕事量も精神的な負担も増え、疲れ切っている教員が多い」といい、「教員は『完璧』を求めすぎず、睡眠やリラックスする時間をしっかりとることが大切。保護者も学校への要望がある場合、『苦情』という形ではなく、『子どものために、一緒に考えたい』という姿勢で伝えてほしい」と強調する。(西村悠輔、三島あずさ)