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 Q 今年も外交文書が公開されたね。

 A 毎年この時期に外務省が公開する。今年はファイル26冊で1万ページ超(ちょう)。「極秘」のハンコがある紙もある。外務省が学者も交えて議論し、膨大(ぼうだい)な戦後外交の記録を少しずつ出すんだ。

 Q どのくらい昔の文書なの?

 A 今の外交に影響(えいきょう)しないようにと、30年経たないと出さないルールなんだ。特に今年は節目で、30年前と言えば1990年。89年に昭和天皇が亡くなり、米国・ソ連の超大国が対立した冷戦が終わった翌年にあたる。初めて平成や冷戦後の文書が出てきたよ。

 89~90年にかけて、民主化運動を武力弾圧(だんあつ)した中国の天安門事件があったほか、大喪(たいそう)の礼と即位(そくい)の礼、イラクがクウェートに侵攻(しんこう)した湾岸(わんがん)危機と大きな出来事が続いた。そのとき日本がどう動いたか、内幕が文書からわかるんだ。

 Q 今回公開されたのは、30年ほど前の文書ばかりなの?

 A うん、そこも今回の特徴(とくちょう)だ。昨年までの公開対象には50~70年前の文書も入っていたんだ。戦後の文書は76年に公開が始まったけど、日米安保条約や沖縄返還(へんかん)など「大物」の交渉(こうしょう)記録がたくさんあって、外務省は長い間かけて細切れに出してきていた。

 ただ、「大物」の文書は民主党政権のときに外務省が日米安保関係の密約調査をして2010年にかなり出したので、昨年で一区切りついたんだ。10年に外部有識者を入れて公開対象を決める今の制度が始まって、「30年前といえばこの出来事」といった議論が進んだことも大きいね。

 Q 全部公開されるの?

 A いや、今回も北方領土交渉など「継続(けいぞく)中」の部分は黒く塗(ぬ)られて隠(かく)された。長く解決しないからこそ情報を広く共有し知恵(ちえ)を絞(しぼ)るべきなのに、「墨(すみ)塗り」を見るとがっかりするよ。(編集委員・藤田直央