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 東京オリンピック(五輪)・パラリンピックの開閉会式の演出を担ってきた狂言師の野村萬斎さんを統括とする7人のチームの解散が決まった。大会組織委員会はコロナ禍に伴う式典の簡素化を短期間で進めるため、チームの一員で、電通出身のクリエーティブディレクター、佐々木宏さんを新たな統括に据えて権限を一本化した。

 野村さんは23日の記者会見で「断腸の思いではあるがスタッフに感謝を言いたい。7人だと判断に時間がかかる」と述べた。複数の関係者によると、チームの意思疎通がうまくいかないこともあったという。

 2018年夏のチーム結成から積み上げてきた「復興五輪を意識したシンプルかつ和の精神に富んだ、日本人が世界に発信できるメッセージとはなにか突き詰めてきた」(野村さん)という企画は一度、白紙に戻す。野村さんは「佐々木さんにお任せするのだから、邪魔にならないこともエチケット。苦渋の決断ではあるが、それが一番シンプルと納得した」。一方で「今まであったものがすべてゼロということはない。何か日の目を見るアイデアがあれば、と思っています」と、笑顔で未練もにじませた。

 佐々木さんは、当時の安倍晋三首相をサプライズ登場させたリオデジャネイロ五輪閉会式での引き継ぎ式や、水泳の池江璃花子さんを起用した今夏の五輪1年前イベントの演出を担当した。式典の制作事業を委託している広告大手の電通出身。チームではパラリンピックを担当していた。準備の効率化を進める上で欠かせないとの判断で残ることになった。

 佐々木さんは「私は映画監督でも舞台演出家でもない。大きな式典をやることに違和感を持つ方もいると思う」と述べつつ、「広告という仕事にプライドを持ってやりたい」と意気込んだ。小学生の時に見た1964年東京五輪開会式の感動を振り返り、「シンプルなのに感動できる。そういう所に戻れれば」と語った。

 野村さんは組織委のアドバイザーに就任する。野村さん、佐々木さん以外のメンバーだった映画監督の山崎貴、歌手の椎名林檎、映画プロデューサーの川村元気、障がい者の芸術活動を支援するクリエーティブプロデューサーの栗栖良依(くりすよしえ)、振付家のMIKIKOの5氏の処遇は未定。(野村周平)