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 街の様子を一変させた、新型コロナウイルスの感染拡大。神奈川県の路上で暮らす人々にどんな影響を与えたのか、春から取材を続けてきた。

 緊急事態宣言が出された4月、生活困窮者を支援する団体の横浜市内でのパトロールに同行した。駅の地下街や公園、高架下などで路上生活者と話をした。炊き出しがなくなったり、図書館などが閉鎖されて日中の居場所がなくなったりと、影響は様々なところに及んでいた。

 ネットカフェで生活していたが、休業要請による閉店で行き場を失い、路上をさまよった男性もいた。5月に川崎市内で行われたパトロールに同行した際、出会った男性は、集めて現金化するアルミ缶の値段が下がったと話していた。

「誰にでもクリスマスがあっていいじゃないですか」

 「住民登録がないから、10万円が受け取れない」。1人10万円の特別定額給付金の支給期間中、取材で出会った路上生活者の多くが抱えていた悩みだ。給付金を受け取るためには、住民登録をしている自治体から住所地に届いた書類で申請する必要があるが、路上生活者は住民登録をしている自治体を離れて生活していたり、そもそも登録地がなかったりする場合が多い。

 「仕方ないよ」「元々もらえると思ってない」。聞こえてくるのは怒りよりも、諦めの声だった。最も支援を必要とする人々に支援が届かない実態が、コロナ禍で浮き彫りになった。

 横浜市によると、今年1月時点で、約380人が市内の路上で生活。コロナ禍を経ても、その数が大きく増えたわけではないという。一方、家賃を補助する住居確保給付金の申請件数は4月以降激増した。目に見えないだけで、路上生活の手前で踏みとどまっている人は少なくないのだ。

 取材を重ねると、街の見え方が少し変わった。ひじかけを設置して人が横たわれないようになっているベンチや、フェンスで囲われた高架下のスペースなどが目に付くようになった。どれも、路上生活者を排除する役割を果たしている。ベンチで寝ることも許さないという街のあり方が、「10万円をもらえるわけがない」という諦めにつながっているようにみえる。

 今月上旬、藤沢市内の路上生活者の「クリスマス会」に参加した。教会の一室に15人ほどが集まり、カレーに舌鼓を打ったり、歌を歌ったり。ビンゴの景品として用意されたのは、保温効果のある下着やレギンス、靴下、カイロなどだ。銀色の保温シートをうれしそうに抱いて帰って行く男性の姿が印象的だった。

 「彼らはこういう季節のイベントからも排除される。でも、誰にでもクリスマスがあっていいじゃないですか」。支援団体の男性の言葉がずしりと響いた。彼らのために何ができるか、自問しながら取材を続けたい。(土屋香乃子)

住む場所に困ったら相談を 横浜市が大みそかまで窓口

 新型コロナ感染拡大による経済不安が広がる中、年末にかけて失業したり住居を失ったりする人が出る恐れがあるとして、横浜市は初めて、通常の役所の窓口が閉じている年末の29~31日に、住居相談などに応じる臨時窓口を開く。住居がない人のために、年を越せる宿泊場所(約60室)と食事も用意する。

 市によると、窓口は新型コロナの影響などで生活に困窮し、住む場所に困っている人が対象で、中区の市寿福祉プラザ1階に開設する。3日間限定で、午前9時半~午後2時。各日5~7人の市職員が対応し、生活保護や住居確保給付金を含む、生活困窮者自立支援制度などを案内する。住居確保給付金に関する相談では、申請書類の提出も受け付け、市役所が開く来年1月4日以降に審査できるよう手続きする。

 すでに住居を失い、寝泊まりする場所がない人には、宿泊場所と食事も提供する。

 市によると、今年5月の大型連休中にも臨時窓口を設置し、76件の相談を受け付けた。年末の閉庁期間中に大みそかまで対応する窓口を設けるのは初めてという。例年、年末が近づくとこうした相談は増えるが、担当者は「今年はいつも以上に多く、危機感がある。感染拡大が止まらない中、失業したり会社の寮から退出させられたりする人がいるのではないか。役所が閉まる年末も相談先を残しておくべきだと考えた」と話す。

 相談は電話やメールでも受け付ける。電話は045・641・0383、メールはkf-seikatsusodan@city.yokohama.jpへ。いずれも開設時間内の対応になる。(松沢奈々子)