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 派遣社員や契約社員だからという理由だけで、テレワークの対象外にしてはいけません――。新型コロナ下で広がったテレワークの課題を議論してきた厚生労働省の検討会が23日、そんな報告書案をまとめた。勤務の「中抜け」を事実上認めるなど、働き手がテレワークをしやすくする方向性を打ち出す一方で、長時間労働を防ぐための労働時間管理は、引き続きしっかり行うように求めている。

拡大する写真・図版東京都庁でもテレワークが実践され、空席が目立っていた=11月30日、新宿区、長野佑介撮影

 労働法が専門の大学教授ら8人が、働き手や企業への調査結果も踏まえて8月から議論した。厚労省は報告書をもとに、年度内にテレワークの指針(ガイドライン)を大幅に改定する。

 緊急事態宣言も出た春以降、正社員はテレワークを認められる一方で、派遣社員ら非正規の働き手は出社せざるを得ない実態が広がった。そこで報告案は企業に対し、正規・非正規といった雇用形態だけを理由にテレワークの対象者を分けないよう、留意を求めた。

 また、テレワークは長時間労働になりやすい懸念があるとして、企業が働き手の労働時間の把握義務をきちんと果たすことの重要性を、改めて指摘した。

 一方で、働き手の仕事の状況を常時把握するような方法は「現実的ではない」として、働き手が自己申告した労働時間が実際と多少異なっていても、原則として企業は責任を問われないことをガイドラインに書き込む方向性を示した。働き手が宅配便の受け取りなどで仕事を「中抜け」した場合も、始業と終業の時間をきちんと管理すれば問題ないとした。

 長時間労働を防ぐため、フランスの「つながらない権利」を参考に、時間外や深夜・休日の電話やメールなどについて、一定のルールを作ることも有効との考え方も示した。このほか、テレワークをせずに出社していることだけを理由に働き手を高く評価することは適切ではない▽通信代・機器代などテレワークで生じる費用の負担について、労使であらかじめルールを作ることが望ましい――といった考え方も示した。

 ただ、柔軟なテレワークを認める観点からだとしても、企業の労働時間の把握義務を緩めることには働き手の立場から懸念も出ている。日本労働弁護団の水野英樹弁護士は「『自己申告頼み』は、あいまいでずさんな時間管理の温床となりかねない。始業と終業は、客観的な時刻が記録される方法でしっかり管理すべきだ」と指摘する。(岡林佐和)