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 全国的な知名度を誇る人気者がいる伊勢シーパラダイス(三重県伊勢市)と鳥羽水族館(同県鳥羽市)、開業50周年だった志摩マリンランド(同県志摩市)にとって、新型コロナウイルスによる営業面の打撃は計り知れないものだった。

 いずれの施設も長期にわたり、臨時休業を余儀なくされた。そこで力を入れたのが、SNSによる情報発信だ。足を運べない全国のファンのために、飼育する生き物の日常をSNSで精力的に配信したところ、爆発的にヒットした。

 伊勢シーパラダイスのユーチューブには、ツメナシカワウソのひらりが連日のように登場し、コロナ対策を呼びかけた。巨大なヒレアシで来館者の背中をたたいて「闘魂」を注入するセイウチのヒマワリは、動画で豪快なうがいを披露。ユーチューブの登録者数は休館中に1万人も増え、3万人近くに達した。

 鳥羽水族館のユーチューブも、登録者数が5倍増の3万人になった。フィギュアスケーターさながらの高速スピンが話題となったラッコのメイや、「おじさん顔」として注目されたバイカルアザラシのニコなど、全国区の人気を誇るスターたちが活躍した。

 志摩マリンランドで話題をさらったのが、ケヅメリクガメの子どもたちだ。母親のセイラは、2006年に公開された映画「小さき勇者たち~ガメラ~」でガメラの子役として登場。1月10日に孵化(ふか)した「孫」の7匹の動画をツイッターにアップしたところ、再生回数が13万回を超えるヒットを記録した。

 志摩マリンランドはコロナ禍の前、それほどSNSに力を入れていたわけではないという。ある取材で訪れた際、里中知之館長が思わずつぶやき、そして前を向いたことを覚えている。

 「50周年の節目なのに、今年は営業的には苦しいですよ。でもSNSを通じ、多くの新しいファンを開拓できたような気がします」

 朝日新聞デジタルでも、三つの施設の生き物たちの様子を積極的に配信するよう心がけてきた。鳥羽水族館のダイオウグソクムシに関しては、2年ぶりに排便が確認されたことや、担当飼育員の苦労や思いを丁寧に聞き出して記事にした。

 家でじっとしている人たちに、生き物たちの有り余る魅力は十分に伝わったはずだと思う。SNSを通じて新規開拓できた大勢のファンが、マスクを外して満面の笑みを浮かべながら、三つの施設を訪れる日が待ち遠しい。(安田琢典)

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