CMにも登場 何かおかしく、だから楽しい鼻笛 愛知

渋谷正章
[PR]

 CMの時間が余ったので、鼻笛をお聞き下さい――。近ごろ、瞬間接着剤のテレビコマーシャルを見て、気になった方もいるのでは。そう、「鼻笛」です。鼻息で奏でる楽器が、愛知県内でも静かに広がっています。

 江南市宮田町の交流サロン「フォーク広場 トライク」に15日、「Della Walatte(でっら・わらって) 鼻笛 Club(クラブ)」の11人が集まった。クリスマスにちなんだ帽子や衣装をつけ、約2時間、練習に励んだ。

 鼻笛は穴が二つあり、一つは鼻、一つは口につける。鼻から息を出し、口笛のように口の動きで音程を変える。素材は木やプラスチック、焼きもののほか、紙を折っても作れる。形は四角、楕円(だえん)など様々だ。

 価格は数百円から。歌が苦手でも、音符が読めなくてもメロディーを奏でられ、年代を問わず始めやすい。クラブの田中弘志部長(62)は「元々は南米の先住民族が使っていたと聞きます。鼻呼吸の練習になり、体にもいいらしい。鼻づまりが治ったという人がいます」。

 定期的に活動している鼻笛サークルとしては、県内唯一というクラブができたのは数年前。現在、メンバーは約70人まで増え、「トライク」で毎月第3火曜日夜にある練習会のほか、演奏会やコンクールにも参加している。

 今年は新型コロナウイルスの感染拡大で演奏会の多くが中止された。練習会も自粛が続いた。何とか活動を維持しようと、自宅での練習風景の動画をSNSで発信し、メンバーや他県のサークルと腕前を確かめ合った。

 15日は換気に注意し、密を避けて、慎重に練習会を進めた。人数は以前より少なかったが、メンバーには笑顔があった。藤井輝代美さん(47)は「鼻に笛を当てる姿は、やっぱりおかしい。一生懸命やればやるほどユーモラスになる。それを同じ空間で共有しあうからこそ、楽しい」。

 同クラブの副部長で、高齢者福祉施設で働く井戸美智代さん(56)は、勤務先で鼻笛を教えたお年寄りが、生き生きとしていたことが忘れられない。「大人になると、新しいことができる喜びを味わうことはほとんどない。それが鼻笛にはあるのでしょう」

 クラブにはフェイスブックのグループページがある。「でっらわらって」と検索すれば見つかる。(渋谷正章)