流水型ダムめぐり専門家が意見 球磨川流域治水協

伊藤秀樹
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 7月の豪雨で氾濫(はんらん)した球磨川の治水対策をめぐり、国や熊本県などでつくる球磨川流域治水協議会は23日、「学識経験者等の意見を聴く場」(座長=福岡捷二〈しょうじ〉・中央大教授)を初めて開いた。参加した専門家からは、流域治水について住民への説明や地域の理解を得る努力を求める意見が出た。

 意見を聴く場は、今年度内に同協議会がまとめる「球磨川流域治水プロジェクト」の内容について、専門家から意見を聞くのが目的。河川工学、都市計画、森林科学、農業土木の8人がオンラインで参加した。

 小松利光・九大名誉教授(河川工学)は、国土交通省九州地方整備局が提示した川辺川へのゲート付きの流水型ダムに賛成する考えを示した。緊急放流にならないようにするため、ダムの貯水容量は「多少無理してでも大きくしたい」とも述べた。一方、島谷幸宏・九大工学研究院教授(河川工学)は、益田川ダム(島根県)など今ある流水型は「生き物の移動に対する配慮が不十分だ」と指摘。平常時は生き物が移動できるようにすることが重要だと言った。

 蓑茂寿太郎(みのも・としたろう)・東京農大名誉教授(都市計画)は、流水型ダムと貯留型ダムの違いを明確にしないと住民は理解できないとした。流域治水では市町村の役割が大きいとし、広域行政の必要性についても意見した。

 平松和昭・九大農学研究院教授(農業土木)は、農業を守る立場から、雨水を一時的に水田にためて河川への流入量を抑える「田んぼダム」に言及。コメの減収割合は、水につかった時間や品種、生育時期で変わるといい、水稲の生産を考えれば限界があることにも留意が必要だと言った。

 九州地方整備局の大野良徳・河川調査官は終了後に取材に応じ、「(住民へ)しっかり情報を出していかないといけない」と述べた。(伊藤秀樹)